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第3回
受取保険金の管理制度としての生命保険信託
―財産管理制度としての信託の利用―
関戸国際税務会計事務所 代表/税理士 関戸隆夫
  今回は、生命保険信託商品について解説します。
■  はじめに
  万一、自分(夫)が事故等で亡くなった場合に、幼い子供が成人するまでの養育費に充てるために生命保険を利用することは多くありますが、通常の生命保険商品では支払われた生命保険金の利用方法までを予め決めておくことはできません。
  例えば、夫婦が離婚していて夫が幼い子供を育てているような場合、妻はいても病弱で夫よりも先に亡くなってしまう可能性が高く幼い子供の養育に不安を感じる場合はどうなるのでしょう。あるいは高齢の夫婦が知的障害のある成人の子供と暮らしている場合もあるかもしれません。
  そのような場合、子供に一括で支払われた生命保険金を配偶者や親族が管理できる場合は問題ないでしょうが、その配偶者に浪費癖や長期的な病気等の理由で適切な生命保険金の管理が見込めない場合や、配偶者の死亡や他に頼れる親族がいないなど、そもそも財産管理を行う者が存在しないような場合も起こり得ます。このようなときに利用できるのが「生命保険信託」です。今回は生命保険信託の概要と税務上の取扱いについて紹介します。
■  生命保険信託の基本的な仕組み
  生命保険信託とは、端的に言えば生命保険と信託が一つになった商品です。すなわち、保険契約者は、委託者として死亡保険金を受け取る権利を受託者である信託銀行に信託し、自分の子供などを受益者として設定します。
  委託者が死亡すると、生命保険会社から受託者である信託銀行に死亡保険金が支払われます。受託者は死亡保険金を受け取った後、これを信託財産として管理・運用し、信託契約の定めに従って、一定期間受益者(子供など)に信託財産から金銭を交付します。
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