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第10回
海外資産と信託(2)
信託と国外財産調書制度
関戸国際税務会計事務所 代表/税理士 関戸 隆夫
  平成24年度税制改正において、国外に所在する財産についての情報をその所有者が国に申告する「国外財産調書制度」が創設され、平成26年1月1日以後に提出する国外財産調書から適用が開始されているところです。このため、海外に一定以上の資産を保有する場合には、今後は国への適正な申告が求められることとなります。
  今回は、国外財産調書制度の概要と、信託の仕組みを利用した場合の本制度の適用関係について解説します。
■  国外財産調書制度の概要
  国外財産調書制度は、我が国の税務当局として、これまで国外財産を保有する納税者を把握することが困難な状況の中で、近年、国外財産の保有が増加傾向であることや、国外財産に係る所得税や相続税の課税漏れも増加していることに鑑みて、国外資産に係る課税の適正化を図ることを目的として創設された制度です。
(1)適用対象者
  国外財産調書の提出が必要となる人は、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する所得税法上の居住者です。この所得税法上の「居住者」とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。また、この居住者には、日本国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人(これを「非永住者」といいます。)も含まれますが、この非永住者は国外財産調書の提出義務者からは除かれています。
(2)国外財産とは
  国外財産調書制度における「国外財産」とは、「国外にある財産をいう」こととされていますが、この「国外にある」かどうかの所在判定は、基本的には相続税法上の財産の所在についての定め(相続税法第10条)により判定することとされています(表1参照)。
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