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第11回
海外資産と信託(3)
信託を通じた海外不動産取得の留意点
関戸国際税務会計事務所 代表/税理士 関戸 隆夫
  このところ、我が国の富裕層の間では、海外不動産の購入は珍しいことではなくなっています。これらの不動産は、アジアの新興国などに所在する居住用のアパートメントや商業施設である場合もあります。
  今回は、海外資産の中でも不動産に着目し、海外不動産を取得・保有するメリットについて概説し、信託の仕組みを通じて海外不動産を保有する場合に特に注意が必要な点について説明していきたいと思います。
■  信託を通じた海外不動産の取得
(1)海外不動産を保有するメリット
  そもそも、海外に不動産を保有するメリットはどのようなものなのでしょうか。近年、海外不動産保有は、主に投資目的で保有するケースであり、この場合に、一般的にいわれているメリットは以下のようなものです。
  @ 譲渡した場合のキャピタル・ゲイン(譲渡益)
  A 保有時のインカム・ゲイン(家賃収入)
  B 物件の減価償却費の計上
  上記の@については、特に新興国においては、経済成長性が高く、物件を安く購入し、その後物件の価値が上がったところで売却することによって大きな利益を得られる可能性があります。また、Aについては、インフレが進む国では、所得水準が上がり、家賃も上がるということが想定できます。そして、Bは税務上のメリットです。建物は減価償却資産であるので、例えば日本のサラリーマンが投資用不動産を購入した場合、不動産所得としてその減価償却費を計上し、給与所得と相殺することで課税所得を圧縮することが可能です。
  これは日本の不動産に限ったことではなく、海外不動産でも同様のことが可能です。むしろ、海外不動産は日本の不動産に比べて、その土地・建物の価額に占める建物の比率が高いといわれていることや、中古市場が大きく中古資産を購入することで、新築よりもかなり短期の耐用年数で償却することができる点で、高額所得者にとってより大きな節税効果が見込めると考えられます。
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