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第1回
利回りは高いが、リスクにも要注意!
債券と証券の中間的存在「ハイブリッド証券」
株式会社FPウィム 代表取締役/ファイナンシャル・プランナー 伊田 賢一
  例えば、「教育資金の準備にはこども保険と○○ではどちらがいいの?」「10年ためるなら保険より○○のほうがよくない?」――お客さまから生命保険と隣接業界の金融商品を比較した質問をいただくことはありませんか? 本コーナーでは、そのような人気金融商品の“基礎知識”を解説します。
  第1回は、欧米で2007年頃にブームとなり、日本でも最近人気に火が付いた「ハイブリッド証券」を取り上げます。低金利環境が続く中、利回りの高い金融商品を求める投資家から注目されています。
■  ハイブリッド証券の概要
  ハイブリッド証券といっても新種の証券が誕生したわけではなく、「ハイブリッド=hybrid」とは、「異なったものが組み合わされていること」(大辞林)という意味であり、そこから転じてハイブリッド証券とは、資本(株式)と負債(社債)のそれぞれの性格を併せ持つ証券で、広義には普通社債、普通株式以外の証券全般をさし、具体的には劣後債、永久債、優先出資証券、優先株などのことをいう。
  一般に、償還期限(額面金額を返却する満期日)の定めがないかあるいは長期(10年超など)のもので、普通社債と比べて発行体が破綻したときに負債を返済する際の順位が低い(弁済順位が低い)。発行体の財務内容が悪化した場合は利息(配当)の支払いが繰り延べになるものもある。そこでこれらのリスクがある代わりに高い金利を支払うことを約束している。
  ハイブリッド証券の代表格の1つである「劣後債」の「劣後」とは、「(配当・償還などの)順序があとになること」(大辞林)という意味であり、名前がその性格をよく表している。他の商品も簡単に紹介するなら、償還期限がないのが「永久債」、配当可能利益の有無によって利払いが制限されるのが「優先出資証券」、議決権がないのが「優先株」である。
  なお、発行体が破綻した際のリスク度合いが大きいことから、発行体の信用格付け等により債券価格に対する影響も普通社債と比べ大きくなる。
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