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医療の変化に合わせた「在宅医療特約」登場
ファイナンシャル・プランナー 豊田 眞弓
  平成27年版高齢社会白書(内閣府)によると、2025年には団塊世代が75歳になり、高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)は30.3%になると予測されている。2040年には36.1%となり、75歳以上は5人に1人(20.7%)となる見込みだ。2025年以降は、病院や介護施設が大幅に不足し、「医療・介護難民」や「死に場所難民」が急激に増えると指摘されている。その解決策として、国は「地域包括ケアシステム」によって、エリアごとに医療・介護、介護予防・生活支援などのサービスを行うグループを形成するよう推進している。その柱になるのが、在宅医療だ。
  今回は、「外来・通院」「入院」に次ぐ第三の医療といえる「在宅医療」を保障する特約を取り上げる。
■  今後、増加が見込まれる在宅医療
  在宅医療(訪問診療)は、通院が困難な慢性疾患(老衰や認知症、脳血管疾患、がんの末期など)の患者を対象に、医師、看護師、理学療養士などが自宅を訪問して必要な医療を行っている。「往診」は緊急性があるのに対し、在宅医療は計画性があり、しかも24時間体制で利用できる。介護保険サービスとの連携もとりつつ利用することになるが、診療報酬については、通院よりも高く、入院より安く設定されている。
  現状では、在宅の患者を診ている診療所はまだ多くはないものの、今後、増えていくとみられている。外来患者が5%未満の「在宅専門診療所」も解禁され、診療報酬も戸別訪問を高くしたり看取りや重症度の高い患者の実績を評価する等、在宅医療を推進する方向に改定されている。
  2025年に向けて、在宅医療が急増するとみられる中、入院にも通院にも該当しない在宅医療は、医療保険等でも保障の対象外となってしまう。
  そのため、こうした変化を見越して、在宅医療を保障する特約を発売する保険会社も現れた。実は2011年4月より、フコクしんらい生命が解約返戻金抑制型医療保険「医療自在FS」の特約として「特定在宅治療支援特約」を扱っていた。在宅医療のうち、所定の自己注射療法や人工透析療法、酸素療法(体内に酸素を十分に取り込めない患者に対し酸素吸入をする治療法)に対して一時金(入院日額の50倍、1回限り)が支払われるという特約はあった。それから5年近く経って、今年新たに発売された2商品を紹介する。
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