Home > 特集 > 「役員退職慰労金」を極める!【応用編】その3
 特 集 
「役員退職慰労金」を極める!
【応用編】 その3
1級ファイナンシャルプランニング技能士/株式会社シャフト 代表取締役 吉光 隆
【役員給与引下げと在職老齢年金の関係】
A)在職老齢年金とは?
  在職老齢年金というのは、簡単にいえば、老齢年金を受給しながら毎月給与※1を受け取ると、給与額に応じて年金額が『支給停止』されることを言います。
  つまり在職老齢年金という年金があるわけではなく、あくまでも年金を受給しながら給与を受け取ると、年金の一部または全部が支給停止される制度を、在職老齢年金制度と呼んでいます。
  在職老齢年金は年齢によっては60歳から適用されますが、特に65歳を超えた場合の在職老齢年金については下図のようになっています。
   ※1   実際は給与ではなく「総報酬月額相当額」と言い、標準報酬月額に直近1年以内の賞与を12分の1した金額を合計した額のことです。簡易として給与(月額)と記述。また計算上においても、実額とは誤差が出ますが目安として十分理解できると思われます(以下、事例もすべて給与で計算)。
なお、在職老齢年金は年金を受け取る高齢者の中でも、給与所得者で厚生年金・共済年金の加入者が対象となります。自営業者等はいくら収入があっても在職老齢年金の対象とはなりません。また厚生年金に加入していないパート等も、同様に在職老齢年金の対象にはなりませんから、年金額の減額や支給停止の対象とはなりません。
  65歳からの在職老齢年金は、簡単に言えば給与額(総報酬月額相当額)と年金額(老齢厚生年金の月額)の合計額が『46万円』を超えた場合、越えた分の1/2が年金額(老齢厚生年金部分※2 )からカットされる仕組みです(なお、60歳から64歳までは『28万円』を超えた部分の半分が支給停止)。
  例えば、老齢厚生年金月額14万円(別に基礎年金6.5万円があり、年金額の合計は20.5万円)、毎月の給与が100万円の社長の場合だと、次の計算になります。
{(100万円+14万円)−46万円 }×1/2=支給停止額34万円
  もともと老齢厚生年金は14万円しか受給していないため、全額支給停止となります。
   ※2   65歳以上の在職老齢年金の対象は老齢厚生年金部分(報酬比例部分)であって、基礎年金部分は対象とはなりません。したがって基礎年金は65歳以上になれば受給することができます(平成24年度の基礎年金額は満額で78万6,500円、月額にすると約6万5,500円)。
昭和12年4月1日以前生まれ(現在75歳以上)の人は、この制度ができる前にすでに65歳以上となっており、対象とはなりません。
※ これ以降は会員専用ページです