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 特 集 
「役員退職慰労金」を極める!
【上級編】 その2
1級ファイナンシャルプランニング技能士/株式会社シャフト 代表取締役 吉光 隆
【役員退職慰労金の『分割払い』と『年金払い』の課税】 承 前
2.「分割払い」と「年金払い」の法人の経理処理
  では、役員退職慰労金の「分割払い」と「年金払い」の具体的な課税関係を見ていきましょう。
  まず、法人においては、死亡退職金も生存退職金も過大でない限り、「損金算入」されます。問題なのは、役員退職慰労金を支払う法人側において、「分割払い」と「年金払い」とでは損金算入時期をどのように取り扱うのかということです。
  「分割払い」の場合は、あくまでも「一時金の分割払い」ということから、前述の法人税基本通達9−2−28の損金算入時期が適用されます。つまり、
     「株主総会の決議等により退職金の額が具体的に確定した事業年度に一括損金算入(未払金でもOK)する」
  ことが原則です。
  したがって、例えば1億円の退職金を分割で支払う場合でも、1億円を一括で損金算入することができます。実際には、1年目に6,000万円を現金で支払い、残り4,000万円を未払金とします。2年目、3年目にそれぞれ2,000万円を支払って未払金を取り崩します。
  また、特例として、支払った都度、損金算入できる場合もあります。
  一方、「年金払い」の場合は、法人税基本通達9−2−29により、『支払った都度、損金算入する』ことが決められています。
(退職年金の損金算入の時期)
9−2−29 法人が退職した役員又は使用人に対して支給する退職年金は、当該年金を支給すべき時の損金の額に算入すべきものであるから、当該退職した役員又は使用人に係る年金の総額を計算して未払金等に計上した場合においても、退職の際に退職給与引当金勘定の金額を取り崩しているといないとにかかわらず、当該未払金等に相当する金額を損金の額に算入することはできないことに留意する。
(平19年課法2−3「二十二」により改正)
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