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アパート・マンション経営は、保険の代わりになるのか?!
● アパート等の経営には見えないリスクがいっぱい
  「将来、年金が本当に受け取れるのか分からないから」と、アパート・マンション(以後アパート等)経営に興味を持つ人も少なくありません。デベロッパーや不動産会社では、「相続対策として…」などの謳い文句を掲げて随時説明会を実施しており、実際に話を聞いてみると、「良さそうだなぁ。老後の生活資金になったり万一のときは遺族に資産を残せるから、保険の代わりになるのでは…」と前向きに検討する人もかなりいます。読者のお客さまのなかにもいらっしゃることでしょう。
  とはいえアパート等の経営はあくまで不動産投資であって、保険代わりにはなりません。そういうことをお客さまにアドバイスして、経営するのかしないのか決断していただくとよいでしょう。
  確かにアパート等の経営に成功すれば、毎月一定の収入が得られます。年金の代わりになるだけでなく、一家の大黒柱に万一のことがあっても残された家族に資産を残すことができます。ローンを組んで購入・建築した際には、相続税を抑える効果も考えられますのでメリットはいっぱいです。
  しかしながら、これはスムーズに店子が入った場合であることを忘れてはなりません!
  入居付けが上手くいかない場合には、固定資産税や修繕改修費や住宅ローンの支払いが続きますので、利益を得るどころか、逆ザヤになることも考えられます。
  特に修繕改修費は、物件をより良い状態に保つために必要なだけでなく、新築物件との競争力を保つためにも必要不可欠ですので、コスト高になるのは否めません。
  一括借上げ制度を利用する場合には、サブリースとなります。20年間や30年間の賃料が補償されているため安心感があるようですが、当初の賃料のまま借上げが続くことは稀。思うように利益が得られないというケースも多々あります。
  建売の物件を購入したり、中古購入した場合には、事故物件にあたってしまうことなども考えられます。アパート等の経営を成功させるには、それなりに物件を見る目を養っておくことも大切でしょう。
● 保障の意味を再確認していただこう
  一方、保険の場合の必要なコストは保険料のみ。更新タイプの保険でなければ保険料は一定になりますので、加入後に余計なコストがかかることはありませんし、必要となるコストは一目瞭然ですので、安心です。
  読者のお客さまのなかでアパート等の経営を考えている方がいらっしゃるのなら、まずは「どうしてアパート等の経営がしたいのか?」を考えてもらうことが大切です。純粋に「収益を上げたい「土地活用のため」というのならいいのですが、あわよくば「保険の代わりにも…」と甘い考えで始めるのは失敗の元であることを理解してもらうようにしましょう。“餅は餅屋”という諺があるように、将来のリスクに対して保障が必要と思うなら、保険で賄うことが基本です。
  
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
  金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
  海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。
  
2012.04.02
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