>  今週のトピックス >  No.2406
年金制度の「おかしな扱い」も変わっていく?
● 10年分さかのぼって保険料が支払える?!
  今年(平成24年)の10月から、国民年金保険料に納め忘れがあったときの「さかのぼって納められる期間」が、2年から10年に延長される。
  3年間の期間限定という、なんとも妙な内容であるが、経済的に余裕のない学生や社会人のための制度である「学生納付特例」や「若年者の納付猶予」の追納可能期間が10年以内であるから、これらと同じ扱いになるわけである。
  しかし、「きちんと手続きをした人」と、ただ単に「保険料の支払いをしなかった人」が同じ扱いになることに対しての抵抗感がある人も多いだろう。
● 公的年金のおかしな扱い
  実は、「どう考えてもおかしいだろう!」という扱いが公的年金制度には数多く存在している。そのうちのいくつかをご紹介しよう。
   @ 繰下げ支給の不思議
  年金を少しでも多く貰おうと、65歳から受け取れるところを70歳まで我慢して、最長5年間の「繰下げ加算」で年金額を増やそうとした。しかし、手続きを忘れてしまい、年金受取の手続きをしたのが70歳より後だった場合、申し出のあった翌月以降からしか年金が貰えない(たとえば72歳の人は2年分の年金の受取り損ねとなる)。
   A 第3号被保険者の不思議
  加入期間が25年を超えるような老後の年金の「受給資格」を満たした夫が、65歳以降に働き続けて厚生年金の保険料を支払っていたとしても、国民年金の第2号被保険者とはならない。したがって、(第2号被保険者に扶養される)その妻は第3号被保険者ではなく、第1号被保険者とされ、国民年金の保険料を支払わなくてはならない(厚生年金の保険料を払っている65歳以上の夫に扶養されていても、国民年金の保険料を払う必要あり)。
   B 遺族年金の不思議
  遺族基礎年金は「子のある妻」には支給されるが、「子のある夫」には支給されない(男性でも育児休業を取得できる世の中にもかかわらず、専業主夫や父子家庭への保障は皆無に等しく不公正)。
  上記の記載以外にも「おや?」というようなおかしな扱いは多く存在しているが、さすがに改善や検討の課題となっているようで、社会保障審議会などで議論がなされているものもある。
● 国民年金の保険料も2年分前納が可能に
  厚生労働省の発表によれば、最高1年分の前納しかできなかった国民年金の保険料について、2年分までの前納を可能にするとのことのようだ。前納割引率をアップしてお得感を出し、保険料徴収率の向上を期待しているようだが、現在6割を切っている国民年金の保険料納付率は改善するのだろうか。
  今まで、若い世代にはまったくといってよいほど関心を持ってもらえなかった公的年金制度ではあるが、「社会保障と税の一体改革」のおかげで、にわかに注目の的となってきた感がある。スポットライトを浴びることで、いろいろな立場の人の意見や知恵が集まり、よい制度へと変わっていくのであれば、喜ばしいことなのではないだろうか。
2012.04.09
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