>  今週のトピックス >  No.2408
それでも円高傾向は続く? 
● 米金利の上昇一服
  ドル・円相場が1ドル=80円台前半でこう着している。円は2月の76円台から3月に入って一気に84円台まで下落したが、3月下旬から上昇に転じ、3月末時点で82円台となっている。いくつかの要因から、しばらくは円高傾向が続きそうだ。
  ドル・円相場を予想するうえで、最も重要なのは日米の金利差だ。日本の長期金利は1%前後で低位安定しているので、米国の金利が上昇すればドルが選好されやすくドル買い、低下すればドル売りとなりやすい。
  3月末時点で米国の長期金利は2.2%。2%を割り込むような歴史的な低水準からは抜け出したが、米景気が劇的に改善しているというわけではなく、米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和第3弾(QE3)への観測がくすぶる。こうした環境では、金利はなかなか上昇しにくく、ドルも買われにくい。
● 2月は経常黒字の可能性
  次に重要なのが日本の経常収支だ。経常収支とはモノやサービス、配当、利子など海外との総合的な取引状況を示す統計だ。赤字なら日本から資金が出ていくので円安、黒字なら入ってくるので円高になりやすい。
  1月の経常収支は約4000億円の赤字で、赤字幅は比較可能な1985年以降で最大となった。欧州債務危機の影響で輸出にブレーキがかかったことが主因だが、1月は正月休みによる輸出減で貿易収支が赤字になりやすいうえ、今年は中国の春節(旧正月)が1月下旬で、現地の休みを見越して輸出を絞る動きが出たことも大きかった。確かに1月の大幅な経常赤字は円高の材料になったが、2月以降は経常黒字が続くとの見方が多い。
● 欧州危機再燃なら円高
  3つ目に重要なのは欧州債務危機の行方だ。欧州危機が再燃すれば、ユーロが売られ、逃避通貨として円が買われやすくなる。ギリシャ問題が一服したことで、1ユーロ=100円を割り込んでいたユーロは110円台まで買い戻されているが、財政問題を抱えるポルトガルやスペインが市場の標的になる可能性もある。この場合、円が買われ、対ドルでも円高になる可能性がある。
(※内容は4月3日時点のものです)
2012.04.12
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