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労働者派遣法が改正、日雇派遣が禁止に
● 30日以内の短期派遣禁止
  通常国会の参議院本会議で3月28日、労働者派遣法改正案が可決・成立した。この労働者派遣法の改正は、民主党が22年に提出したものの、成立しなかった改正案をさらに修正したものとなっている。目玉となっていた製造業派遣の禁止規定は削除されており、全般的に規制は緩くなったといえる。公布は4月で、一部を除き6ヵ月以内に施行される予定となっている。
  今回の改正法の中で一番のポイントは、雇用契約期間が30日以内の短期派遣の禁止及び違法派遣があった場合には派遣先企業が労働者に直接雇用の契約を申し込んだとみなし、社員になる道を開く「みなし雇用制度」を導入したことである。改正法の概要については、下記にまとめているのでご確認いただきたい。
● 労働者派遣法改正法の概要
【事業規制の強化】
日雇派遣(日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者派遣)の原則禁止(ただし適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務の場合、雇用機会の確保が特に困難な場合等は例外)
グループ企業内派遣の8割規制(グループ企業内への派遣を8割以下に規制)、離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることを禁止
【派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善】
派遣元事業主に、一定の有期雇用の派遣労働者につき、無期雇用への転換推進措置を努力義務化
派遣労働者の賃金等の決定にあたり、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮
派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合(いわゆるマージン率)などの情報公開を義務化
雇入れ等の際に、派遣労働者に対して、一人当たりの派遣料金の額を明示
労働者派遣契約の解除の際の、派遣元及び派遣先における派遣労働者の新たな就業機会の確保、休業手当等の支払いに要する費用負担等の措置を義務化
【違法派遣に対する迅速・的確な対処】
違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす(法の施行後3年経過後)
処分逃れを防止するため労働者派遣事業の許可等の欠格事由を整備
● 繁忙期に派遣社員を活用していた運送業・流通・小売業等に打撃
  今回の改正によって、これまで短期派遣を行ってきた派遣会社も他の事業にシフトすることになる。また、繁忙期に短期派遣を活用していた中小企業の運送業、流通・小売業、サービス業などの人材不足の恐れもあり、影響は大きい。規制を強化したことによって企業の派遣離れが進むと同時に、短期派遣で就業している人も多数仕事を失う可能性があり、何らかの雇用対策が必要になるのではないかと思われる。
参考 厚生労働省 労働者派遣法改正法
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/roudou_haken0329.pdf
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2012.04.16
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