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特定支出控除、範囲拡大で申告増えるか?
● 特定支出の範囲に資格取得費などを追加
  平成21年分の確定申告で、わずか9人しか適用しなかった特定支出控除。特定支出の額が給与所得控除額を上回った場合に、上回った額が控除されるという現行制度では、上回るのは稀だ。そこで、平成24年度税制改正で特定支出の範囲が拡大される。
  まず、職務の遂行に必要な弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの資格取得費、また、勤務必要経費で、職務関連の図書の購入費や職場で着用する衣服費、職務に必要な交際費などが対象に加わった。
  ただし、その年中に支出した勤務必要経費の金額の合計額が65万円を超える場合には、65万円が限度となる。また、職務の遂行に必要なものとして給与等の支払者により証明されたもの、という条件が付く。
● 計算基礎を上回った部分が控除額
  特定支出控除の適用判定・計算方法も変わる。特定支出控除額の計算基礎は、給与等の収入が1500万円以下なら、給与所得控除額×1/2、給与等の収入金額が1500万円超ならば、125万円となる。
  そこで、給与等の収入が1500万円以下のケースでは、給与所得控除額の1/2を特定支出控除額が上回った場合に、その上回った額が控除額となる。これが給与等の収入が1500万円超の場合には、給与所得控除額が245万円で頭打ちとなることから、いわばその1/2の125万円が計算基礎となるため、特定支出控除額が125万円を超えた場合に、超えた部分が特定支出控除として控除できることになる。
  一方、給与等の収入が1500万円超で、勤務必要経費と資格取得費がある場合は、計算基礎の125万円を上回った特定支出の額に勤務必要経費と資格取得費を加えた額のうち65万円を限度に控除することができる。
  ところで、平成24年度改正では、「職業上の団体の経費」は特定支出控除が認められていない。例えば組合費などの職業上の団体の経費は、特定支出控除の対象とはならないので注意が必要だ。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2012.04.16
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