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「高額療養費制度」改正〜外来診療についても現物給付化〜
  平成24年4月1日から、高額療養費の現物給付の適用範囲が拡大されました。従来の入院に加え、外来診療(通院)についても「認定証」等を提示すれば、自己負担限度額を超える分を窓口で支払う必要が無くなりました。これにより、患者の負担軽減、請求漏れや時効による権利消滅の減少へ繋がることが期待されます。
● 高額療養費制度について
  高額療養費制度とは、医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う自己負担が、1ヵ月単位で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。これまでの高額療養費の仕組みでは、入院する際には「認定証」等を提示することで、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめる事が可能でした。一方、外来診療の際には窓口負担が限度額を超えた場合でも、一旦その金額を支払う必要がありました。
  今回の高額療養費の現物給付の適用範囲拡大により、あらかじめ「限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口で提示することで、医療機関ごとにひと月の支払額が自己負担限度額までとなります。なお、70歳以上で所得区分が一般、現役並み所得の方は、「高齢受給者証」を提示すること等により自己負担限度額までの支払いとなります。また、所得区分が低所得の方は、「限度額適用・標準負担額減額認定証」の申請が必要です。
● 自己負担限度額について
  高額療養費が支給される場合の自己負担限度額は、受診者の年齢や被保険者の所得により異なり、下記のとおり分類されます。
〜70歳未満〜
被保険者の所得区分 自己負担限度額(ひと月あたり)
上位所得者
(標準報酬月額53万円以上又は総所得金額600万円超の場合等)
150,000円+(医療費-500,000円)×1%
<多数該当83,400円>
一般
(上位所得者、低所得者以外)
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
<多数該当44,400円>
低所得者
(被保険者が市町村民税非課税等)
35,400円
<多数該当24,600円>
※多数該当:療養を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた場合、4ヵ月目から自己負担限度額が軽減される。
〜70歳以上 入院を含む〜
被保険者の所得区分 自己負担限度額(ひと月あたり)
現役並み所得者
(標準報酬月額28万円以上又は課税所得145万円以上の場合等)
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
<多数該当44,400円>
一般
(現役並み所得者、低所得T・U以外)
44,400円
低所得U
(被保険者が市町村民税非課税等)
24,600円
低所得T
(地方税法の規定による市町村民税に係る所得が無い)
15,000円
〜70歳以上 外来のみ〜
被保険者の所得区分 自己負担限度額(ひと月あたり)
現役並み所得者
(標準報酬月額28万円以上又は課税所得145万円以上の場合等)
44,400円
一般
(現役並み所得者、低所得T・U以外)
12,000円
低所得U
(被保険者が市町村民税非課税等)
8,000円
低所得T
(地方税法の規定による市町村民税に係る所得が無い)
8,000円
  なお、認定証の交付手続については、ご加入の健康保険組合、協会けんぽ、市町村(国民健康保険、後期高齢者医療制度)等へお問い合わせ下さい。

参考:厚生労働省「高額な外来診療を受ける皆さまへ」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/kougaku_gairai/
  
野上 幸彦 (のがみ・ゆきひこ)
野上社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士
オーディオメーカー、建設コンサルティング、フードサービス業界での人事・営業職を経験を経て、平成19年に野上社会保険労務士事務所を設立。多業種経験を活かした人事・労務コンサルティングを行っている。
nogami-sr0021@st-paul.gr.jp
  
  
2012.04.23
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