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お国違えば制度も違う?!カナダの医療制度と医療保険
● 海外にも○大医療保険、医療特約などがある
  日本では三大疾病や五大疾病、七大疾病などの医療保険や医療特約というように、特定な病気に罹ったときには手厚く保障する医療保険がありますが、このような制度は海外にも存在します。そこで今回は、カナダの医療保険について取り上げたいと思います。
  カナダにも日本と同様に特定の疾患に罹ったときには手厚く保障するというタイプの保険が存在しますが、その数が日本の比ではなく、20大疾病とか23大疾病というようにガンや心臓病や脳卒中はもちろんのこと、アルツハイマー病やパーキンソン病、職業性HIV感染などなど…、これって大変な病気かも?と考えられる病気をほぼカバーする医療保険がメインとなっています。
  そこまでカバーするならわざわざ○大保険としなくても、単純に医療保険でいいのでは?と思いますが、そこはカナダ独特の医療制度があるからこそ、このようなタイプの保険が誕生したとも考えられます。
● カナダでは医療費が無料なのだけど・・・
  そもそもカナダでは、ナショナル・ヘルスといって医療費は無料。カナダ人もしくはカナダに居住している外国人は、公的医療保険に加入していれば医療費はかかりません。
  とはいえ治療費が無料ゆえ、病院の混み方は大変なもの。手術や治療開始までに1〜2ヶ月待つことは珍しくありません。このような状態では助かる命も助からなくなってしまいますよね。
  それゆえに、すぐに治療を受けたい場合にはプライベート・ヘルスといって、全額自己負担で診療してくれる病院での治療方法を選ぶことになります。
  しかしながら、どの州にもプライベート・ヘルスがあるわけではありません。
  たとえば、2010年に冬季オリンピックが開催されたバンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア州にはプライベート・ヘルスが無く、最寄りのプライベート・ヘルスはお隣のアルバータ州。移動する間に容態が悪化してしまいそうな距離ですので、近くのアメリカのシアトルへ行って、治療を受けることがスタンダードになっているのです。
  とはいえ、ナショナル・ヘルスでも間に合う病気やケガも多くありますので、ムダを省く意味でも、特定な病気のみをカバーする医療保険が発達していったと考えられます。
  カナダの医療保険は海外での治療もカバーしていますので、家族や自分の健康を気遣うのなら、医療保険の加入はマストになっています。
  日本の医療保険も海外での治療に対処していますので、これでナショナル・ヘルスが導入されれば、万全かもしれませんね。
  
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
  金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
  海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。
  
2012.04.26
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