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がん保険(終身保障タイプ)、法人契約の経理処理が改正
  一部のがん保険の保険料取扱いが改正される見込みであることについては、国税庁から2月29日〜3月29日の期間に改正案に対するパブリックコメントが募集されたことで、すでにご存知の方も多かったと思われるが、さらに1ヵ月が経過した4月27日に正式に「法人が支払う「がん保険」(終身保障タイプ)の保険料の取扱いについて(法令解釈通達)」(課法2-5、課審5-6)が発せられ、同日付で取扱い方法が変更された。
● 前払期間中は支払保険料の2分の1を資産計上する取扱い
  現在販売されているがん保険(終身保障タイプ)は、従来の取扱い方法を明らかにした通達が出されたころ(平成13年)の商品と比較して、各社の開発による商品内容の多様化に伴い、支払保険料に含まれる前払保険料や解約返戻金の割合が大きくなっていることが指摘されるようになっていた。そのような背景のもと、このほど法人契約の経理処理方法についての改正が実施された。
  従来の取扱いでは、支払保険料は基本的に全額損金として取り扱われてきたが、変更後の取扱い内容は次の通りとなった。
(1) 保険期間(加入年齢から105歳までの計算上設定された期間)の前半50%を前払期間とし、その間は支払保険料の2分の1を前払金等として資産計上、残額を損金算入する
(2) 前払期間経過後は、各年の支払保険料と、前払期間中に資産計上された累計額を残りの期間(105歳−前払期間経過年齢)で取り崩しする金額の合計額を損金算入する
なお、解約時の払戻金がない(ごく小額である場合を含む)契約については、上記にかかわらず支払の都度支払保険料全額が損金算入される。
  つまり、終身払込契約ではこれまで支払保険料を支払いのつど全額を損金に算入できたが、このたびの改正により、保険期間の前半においては保険料の2分の1を資産計上しなければならなくなった。
  また、有期払込契約についても、支払保険料のうち当期分保険料(支払保険料×払込期間で得られた金額を保険期間で除した保険料額)を超過する部分のみを資産計上する取扱いであったのが、前払期間においては、超過部分に当期分保険料の2分の1を加えた金額を資産計上する取扱いとなった(詳細の取扱い内容については、下記のURLを参照)。
● 改正後の取扱いは平成24年4月27日以後の契約が対象
  なお、改正後の新取扱いが適用されるのは、通達が発せられた平成24年4月27日以後の契約とされている。つまり、それ以前の契約(契約日=平成24年4月26日以前)については従来通りの取扱いが認められることになる。ただし、これまで通り、被保険者の退職時に経理処理が適切に行われることが求められているのは変わらない。たとえば、被保険者の退職時に個人名義に変更するなどの処理をせず、引き続き会社の契約として継続しているような場合には、不適切な経理処理が行われているとして損金算入は認められないとされている。
  従って、税軽減メリットだけが加入目的とみなされて保険料の損金算入を否認されるような事態を招かないためにも、法人契約でのがん保険を今後どのように活用していくのか、どのように会社経営に役立てていくのかという目的を明確にしておくことは、契約者である法人にとって重要なことであると思われる。
参考:国税庁ホームページ 法令解釈通達
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/010810/pdf/240418.pdf
2012.05.02
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