>  今週のトピックス >  No.2425
役員借入金の税務上の注意点
  前回、「今週のトピックス」No.2421で「役員貸付金の税務上の注意点」をお送りしたが、今回は「役員借入金の税務上の注意点」についてお送りする。
● 役員借入金は利息を支払わなくてもOK
  会社は利益を追求するものという観点から、「役員貸付金」について役員は会社に利息を支払う必要がある。一方、「役員借入金」とは、企業が社長や役員からお金を借りることであり、会社が役員に利息を支払わなくても、税務上は問題とならない。
  しかし、税法で定められている次の利率により計算した利息を支払うことも可能である。
   (1) 役員が他から借入れて貸し付けたものが明らかである場合(いわゆる、ひもつき融資)は、その借入金の利率
   (2) (1)以外の場合は、貸付を行った日の属する年の前年11月30日の公定歩合に年4%を加算した利率(その利率に0.1%未満の端数があるときは、切り捨て)。参考までに現在は(0.3%+4%=4.3%)である。
   (3) (1)以外の場合は、会社における借入金の調達金利など合理的と認められる利率
● 役員個人では「貸付金」となり、相続財産
  役員借入金は通常は問題とはならないが、その役員の相続が発生した場合に問題となることがある。役員借入金は役員サイドからすれば、会社に対する「貸付金」となる。貸付金は相続財産となり、額面で評価され相続税が課税されるからだ。
  そこで、役員借入金を削減するための方法として以下の3つを紹介する。
   (1) 役員給与を減額して、その差額に相当する金額を返済に充てる
   (2) 債務免除を受ける
   (3) DES(デット・エクイティ・スワップ)を実行する
  (1)については、手取り金額に増減なく、社会保険料・所得税・住民税が減少するメリットがあるが、会社の経費が減少するというデメリットがある。
  (2)については、会社が赤字または繰越欠損金がある場合には無税で実行できる。
  (3)は役員借入金を資本金に振替えるというもので、自己資本は充実するが、資本金が増加するデメリットを考慮する必要がある。
  役員借入金については通常問題となることがないため、金額が巨額になっている会社もあるので、毎決算時に今後の処理方法を検討されることをお勧めする。また、税務調査においては、資金の出所を求められることもある。
  
今村 京子 (いまむら・きょうこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
http://www.money-c.com/
http://sogyo5.money-c.com/
  
  
2012.05.17
前のページにもどる
ページトップへ