> 今週のトピックス > No.2426 |
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確定拠出年金の拡充を政府が検討 | ||||||||||||
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政府は、個人が自分で運用方法を決める「確定拠出年金」を拡充する方向で検討に入った。現在加入対象外となっている主婦や公務員を対象に加え、また、拠出限度額の上限を引き上げる方向だ。
![]() 1. 加入者の拡充
確定拠出年金が導入されてから10年以上経つが、資産額は約5兆4,000億円(平成23年3月末)となっており、確定給付年金69兆8000億円(平成23年3月末)と比べるとかなり少ない。確定拠出年金を普及、拡充させるためには、公務員や会社員の夫をもつ専業主婦にも対象を広げることや、拠出限度額を引き上げることが急務となっている。
![]() 2. メリット
確定拠出年金の加入者が拡充されれば、例えば家庭の事情で仕事を離れた専業主婦も掛金を拠出でき、老後に備えることが可能となり、将来の年金不安の解消にもなる。
確定拠出年金の掛金は所得控除となるため、専業主婦が月額2.3万円を拠出できた場合には、年間27万6,000円が夫の給与所得から控除できることになる。また、運用益は非課税となるため、投資信託の譲渡所得課税20%(現行は10%)と比較してもメリットは大きい。 ![]() 3. 問題点
政府が確定拠出年金の拡充策を検討する目的としては、日本の約1,400兆円に上る家計の金融資産を、投資信託などを通じて成長マネーとして供給するのが狙いである。しかし、以前、安倍内閣が打ち出した「貯蓄から投資へ」のスローガンをそのまま信じ、初めて投資信託を購入した投資家のほとんどが大きな損失を被り、投資アレルギーとなっているのが現状である。税制のメリットのみで加入者が増えるかは疑問である。
公務員が確定拠出年金の対象となるのは、「職域加算」分の移行先として検討されているのかもしれない。しかし、公務員独自の上乗せ年金である職域加算は、企業年金を持たない中小企業から「公務員優遇」との反発が強い。厚生年金との統合を機に廃止してもいいのではないか。 また、現在夫が会社員や公務員などの専業主婦は国民年金保険料を納めていなくても国民年金をもらうことができる(第3号被保険者)。この制度については「専業主婦(会社員等の妻)を優遇し過ぎ」という批判が、特に働く女性や自営業者の妻の間で強い。パートの主婦が年収を130万円未満に抑えようとする例も目立ち、「女性の就労を妨げている」という批判もある。自営業者世帯の専業主婦が保険料を払っていることとの矛盾も指摘されており、第3号被保険者制度を廃止し、専業主婦(会社員等の妻)も自分の国民年金保険料を納めることも検討されている。そのための布石として今回の確定拠出年金の拡充が取りざたされたのかもしれない。 ![]()
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2012.05.17 |
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