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平成24年分路線価は7月2日に公表
● 公示地価下落に伴い路線価も4年連続下落の公算大
  国税庁はこのほど、平成24年分の路線価を7月2日(月)に全国の国税局・税務署で公表することを明らかにした。路線価は、相続税や贈与税における土地等の評価額算定の際の基準となるもの。昨年7月に公表された平成23年分の路線価では、標準宅地の平均額が前年を3.1%下回り、実質的に3年連続の下落となっていた。
  路線価は、1月1日を評価時点に、公示価格の8割程度が目安とされている。
  今年1月1日時点の公示地価は国土交通省が今年3月に公表したが、全国全用途平均で前年比2.6%減と4年連続で下落した。しかし、下落幅は縮小傾向を示し、地価が上昇した地点は、前年の193地点から546地点へと大幅に増えた。全国の住宅地は2.3%減、商業地は3.1%減と、ともに前年より縮小しているが、公示地価の下落に伴い、路線価も4年連続の下落となる公算が強いとみられている。
  なお、平成23年分路線価等は昨年3月の東日本大震災発生前の評価額となっているため、大震災により相当な被害を受けた地域として財務大臣が指定した青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県の全域や、埼玉県・新潟県・長野県の一部地域内にある土地等(特定土地等)の評価についは、その取得時の時価によらず、「震災後を基準とした価額」(路線価及び評価倍率に調整率を乗じた額)による特例が設けられている。
● 平成20年分以降、冊子での公表は廃止
  ところで、この路線価の公表日は、以前は8月1日だったが、4年前の平成20年分から1ヵ月も早まった。相続税申告に必要な路線価の公表が早くなることは納税者にとって歓迎すべきことだが、一方で、同年からは紙による路線価図等(冊子)を国税局・税務署に備え付けないことになった。
  公表日が1ヵ月短縮された理由は、冊子での路線価図等の制作をやめたことで、その作業時間分が浮いたことにあった。
  公表日の短縮で納税者の利便性も向上したが、国税当局も、IT化、ペーパーレス化によって大きなコスト削減ができたわけだ。
  平成20年分以降、国税局や税務署の窓口には、路線価図等閲覧用のパソコンが設置されている。混雑時は待つ必要も出てくるが、自宅や会社のパソコンから国税庁のホームページの「路線価図等の閲覧コーナー」にアクセスすれば、従来どおり、全国の過去3年分の路線価図等を見ることができる。
参考:国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」
http://www.rosenka.nta.go.jp/
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2012.05.21
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