>  今週のトピックス >  No.2430
根強い円高に変化の兆しも…
● 欧州債務危機、再び
  欧州債務危機の再燃でユーロが下落している。対円では5月第3週終了時点で1ユーロ=100円台まで下がってきた。ただ、ドル・円相場は1ドル=79円台で踏みとどまっており、70円台半ばに向かって円高が進んだ昨年とはやや状況が異なるようだ。外国為替市場でどのような変化が起きているのだろう。
  ドル・円相場を読み解くうえで最も重要なのは日米の金利差だ。米国の金利が上昇し、日米の金利差が拡大すると、ドルへの投資妙味が増しドル高(円安)になりやすい。一方、米国の金利が低下し、日米の金利差が縮小すると、ドルへの投資妙味がなくなりドル安(円高)になりやすい。
● 対ドルでの円高には歯止め?
  金融危機以降は安全資産の米国債が買われ、米金利が低下してきた。このため、ドル・円相場はドル安・円高基調が続いてきた。ところが、米国の長期金利は1.7%台と歴史的な節目である2%割れが続き、これ以上下げにくい水準となっている。そのため、金利差がこれ以上縮小するとも考えにくく、1ドル=80円前後のこう着状態につながっている。
  米国経済では最大の懸案である雇用情勢の改善が足踏みしている。雇用情勢が改善すれば消費が回復し経済も復調。これに伴って株式市場に資金が流入する一方、安全資産の債券市場からは資金が流出し、金利が上昇しやすくなる。11月の米大統領選に向けて、こうした好循環が生まれれば、米経済は回復し、ドルも上昇基調に入るというのが筆者の見立てだ。
● ユーロ安は続く
  一方、ドル以外の通貨に対して円は上昇基調にある。欧州危機が再燃すると、対円でユーロが下落し、それに引きずられてほかの通貨も下落しやすくなるからだ。欧州の政治・経済情勢は混とんとしており、債務問題は長期化が必至。円はドル以外の通貨に対しては上昇しやすい状況が続きそうだ。
  したがって、今後しばらく通貨の序列はドル、円、その他の通貨、ユーロの順になるのではないだろうか。
(※内容は5月20日時点のものです)
2012.05.24
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