● 「中小会計要領」とは?
上場企業向けの会計ルールは非上場会社である中小企業には必要ないが、これまで中小企業でも簡単に利用できる会計ルールはなかった。それは、以下のような理由による。
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経理人員が少なく、高度な会計処理に対応できる十分な能力や経理体制を持っていない |
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会計情報の開示を求められる範囲が、取引先、金融機関、同族株主、税務当局等に限定されている |
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主に法人税法で定める処理を意識した会計処理が行われている場合が多い |
そこで、中小企業の実態に配慮し、新たな会計ルールとして「中小企業の会計に関する基本要領(以下「中小会計要領」)」が平成24年2月1日に公表された。
本要領は、以下の考えに立って作成されている。
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中小企業の経営者が活用しようと思えるよう、理解しやすく、自社の経営状況の把握に役立つ会計 |
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中小企業の利害関係者(金融機関、取引先、株主等)への情報提供に資する会計 |
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中小企業の実務における会計慣行を十分考慮し、会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計 |
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計算書類等の作成負担は最小限に留め、中小企業に過重な負担を課さない会計 |
なお、中小企業向け会計ルールは、今回公表された「中小会計要領」のほかに、「中小企業の会計に関する指針(中小指針)」がある。中小企業はどちらも参照することができる。
位置づけとしては、「中小指針」は会計専門家が役員に入っている会計参与設置会社が拠ることが適当とされているように一定水準を保った会計処理を示したものとなる。一方の「中小会計要領」は、「中小指針」より簡便な会計処理をすることが適当と考えられる中小企業が利用することを想定したものである。
● 金融面での支援
実務においては、『「中小会計要領」の適用に関するチェックリスト』に従って計算書類等を作成することになる。
このチェックリストを活用することで、日本政策金融公庫の融資において支援策が講じられているので、以下にご紹介する。なお、両制度ともに全てのチェック項目に準拠する必要があるのでご注意いただきたい。
ちなみに以前、「今週のトピックス2407」でご案内した「信用保証料割引制度」については、今のところ「中小会計要領」については適用がないので、ご注意いただきたい。
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今村 京子 (いまむら・きょうこ)
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マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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