>  今週のトピックス >  No.2439
被扶養者資格の再確認〜協会けんぽ2年ぶりに実施〜
  協会けんぽによる被扶養者資格の再確認が5月末より開始されました。本来、被扶養者資格の再確認は年1回実施されるものですが、昨年度については、東日本大震災の影響で見送りになったため2年ぶりの実施となります。
◆ 実施の目的
  健康保険の保険料は、医療費および高齢者の医療費への拠出金として使用されています。そして、その高齢者の医療費は、税金、本人負担によるほか、協会けんぽ、健康保険組合、国民健康保険などの医療保険制度から拠出することになっており、その拠出金は各々の医療保険制度の加入者(被保険者と被扶養者)の人数に応じて算出されます。そのため、本来、健康保険制度上の被扶養者に該当しない方が被扶養者解除の届出を行っていないと、その被扶養者分についても協会けんぽの拠出金額に追加され、結果的には加入者の保険料負担が増えることになります。
  今年度については、就職などにより勤務先で健康保険に加入した方の被扶養者解除の届出が未提出(=二重加入)になっていないかが重点的に確認されることになります。
◆ 対象者
  協会けんぽの被扶養者(平成24年5月16日現在、年金事務所で入力処理されている人)
但し、以下の人は対象外です。
  ・平成24年4月1日時点で18歳未満の被扶養者(但し、平成6年4月1日生まれの人は対象)
  ・平成24年4月1日以降に認定を受けた被扶養者
◆ 確認方法
  協会けんぽから事業所へ送付される「健康保険被扶養者状況リスト」に基づき、事業主が被保険者に対して、文書または口頭により健康保険の被扶養者要件を満たしているかを確認することになります。但し、所得税法上の控除対象配偶者または扶養親族になっていることが確認できた場合には、被保険者への確認は行われません。
  確認の結果、被扶養者要件を満たしていない場合には、被扶養者状況リストに同封されている「被扶養者調書兼異動届」に解除のチェックを入れ、該当被扶養者の被保険者証を添付することで、被扶養者から解除される仕組みです。被扶養者状況リスト等の確認書類は、5月末から6月末にかけて事業所へ送付され、最終提出期限は平成24年7月31日(火)となります。
◆ 地道な作業がコスト削減につながる
  この確認作業の目的は、余分な保険料負担の削減にあります。平成22年度においては、この作業によって扶養者から除かれた人が8.7万人、そのコスト削減効果は実に40億円にも達しています。
  毎年のように保険料率がアップし、加入者の負担も増えてきていることを思えば、地道な作業とはいえ、協力していくことが大切なのかもしれません。
参考:全国健康保険協会「平成24年5月末より実施する扶養者資格再確認の具体的実施方法等について」
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/news/detail.1.100568.html
  
野上 幸彦 (のがみ・ゆきひこ)
野上社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士
オーディオメーカー、建設コンサルティング、フードサービス業界での人事・営業職の経験を経て、平成19年に野上社会保険労務士事務所を設立。多業種経験を活かした人事・労務コンサルティングを行っている。
nogami-sr0021@st-paul.gr.jp
  
  
2012.06.11
前のページにもどる
ページトップへ