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中小企業向け100%保証融資、縮小か
● 中小企業庁に、100%保証見直しの動き
  日本経済新聞によると、中小企業庁は、信用保証協会による中小企業向け100%保証融資の縮小を検討している(日本経済新聞6月6日付朝刊)。危機対応に一定の目途がついたと判断し、早ければ今年度下半期で縮小される可能性がある。
  もともと、この100%保証融資は、いわゆるリーマンショックを機に平成20年10月31日に新設された融資制度である。「緊急保証制度」という名称で、一定の業種の中小企業等を対象に、一般保証とは別枠で無担保8,000万円、有担保2億円までの100%保証融資を受けられるというものであった。平成19年10月1日から、責任共有制度が導入されたため、保証協会融資は80%保証が原則(一部例外あり)となったが、この緊急保証制度は、その責任共有制度の対象外とすることで、100%保証とされた。その後、対象業種や利用枠は追加されていき、平成22年2月15日には、「景気対応緊急保証制度」という名称で、原則全業種を対象に36兆円の利用枠が設定された。
● 平成24年下半期で対象業種縮小の可能性
  景気対応緊急保証制度は当初、平成23年3月31日までの期限とされていたが、平成23年1月末に、一部業種については4月以降も100%保証融資を継続するという方針が発表された。しかしその後、平成23年3月11日に東日本大震災が発生し、当初の方針は変更を余儀なくされた。結果的に、景気対応緊急保証制度は平成23年3月末で終了するものの、平成23年4月からは、「セーフティネット保証(5号)」として100%保証が継続された。対象業種は原則全業種となる82業種で、現在もこの措置が継続されている。
  セーフティネット保証(5号)の対象業種は、4〜9月の上半期と10〜3月の下半期でそれぞれ見直すこととされている。そのため、平成24年10月からは一部業種でセーフティネット保証融資を利用できなくなる可能性がある。
  なお、セーフティネット保証(5号)を利用するためには、業種要件以外に、以下のいずれかの基準を満たしている必要がある。
   最近3か月間の月平均売上高等が前年同期比5%以上減少している中小企業者
   A 製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者
   B 円高の影響によって、原則として最近1か月の売上高等が前年同月比で10%以上減少し、かつ、その後2か月を含む3か月間の月平均売上高等が前年同期比で10%以上減少することが見込まれる中小企業者
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
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◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2012.06.21
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