> 今週のトピックス > No.2448 |
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超高齢社会をどう迎えるか〜「人生65年時代」から「人生90年時代」への意識改革〜 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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平成24年版の「高齢社会白書」が発表された。今回は「平成23年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況」と「平成24年度 高齢社会対策」で構成されているが、その中からポイントをいくつかあげてみる。
![]() 1. 2060年(平成72年)には2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上に
2011年(平成23年)10月1日現在のわが国の総人口は1億2,780万人で、うち65歳以上の高齢者人口は 2,975万人となり、過去最高を更新した。総人口に占める65歳以上占率(高齢化率)は23.3%で、前年より0.3%上昇し、年齢層別では、65〜74歳の前期高齢者が1,504万人、75歳以上の後期高齢者が1,471万人で、前年とほぼ同数であった。
今後、高齢者人口は、いわゆる「団塊の世代」が65歳以上となる2015年(平成27年)に3,395万人となり、その後も増加傾向が続く。また、2060年(平成72年)の総人口(推計)は8,674万人で、2011年(平成23年)現在の7割弱まで減少することなどもあり、高齢化率は39.9%に達し、総人口の2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上という「超高齢社会」になると予測される。 つまり、現在は、現役世代2.6人で1人の高齢者を支える「騎馬戦型」であるのに対し、2060年(平成72年)には、現役世代1.2人で1人の高齢者を支える「肩車型」となり、現役世代が背負うことになる負担はますます重くなる。現在国会で審議中の「社会保障と税の一体改革」の行方がどうなるか、まさに注目されるところである。 ![]()
【65歳以上高齢者の状況】
*この項目のみ2010年のデータ
![]() 2. 健康的に生活できる「健康寿命」と平均寿命の差が広がる
次に、平均寿命と健康寿命について見てみよう。「健康寿命」とは、2000年(平成12年)にWHO(世界保健機構)が提唱したもので、「健康上の問題で日常生活を制限されることなく生活できる期間」「介護の必要がなく健康的に生活できる期間」と位置付けられているものである。
2010年(平成22年)時点の平均寿命は、男性79.64歳、女性86.39歳。一方、健康寿命は、男性70.42歳、女性73.62歳であり、2001年(平成13年)からは延びてはいるものの、男女とも健康寿命の延びが平均寿命の延びを下回り、両者の差が広がっている。単純な年数比較では、男性で約9年、女性で約12年も平均寿命より健康寿命の方が短い。 これはすなわち、平均寿命は延びているが、それ以上に医療費や介護費が多くかかる期間が長くなっていることを示しているため、今後は平均寿命と健康寿命の差をなくすことが「個人の生活の質の向上」と「社会保障費負担の軽減」につながると考えられる。政府は、この逆転現象を解消すべく、来月発表予定の次期「国民健康づくり運動プラン(健康日本21)」では、脂質異常症の減少や成人喫煙率の減少など個別の目標をかかげ、2022年(平成34年)までに健康寿命の延びが平均寿命の延びを上回ることを目指している。 ![]()
【平均寿命と健康寿命】 *カッコ内は、それぞれ前回数値からの増減
![]() 3. 「人生65年時代」から「人生90年時代」へ
今後、総人口の減少とともに労働力の減少が見込まれるわが国において、継続的に成長力を高めていくためには、今以上に意欲と能力を持った高齢者のパワーを活かすことが重要であり、社会全体が「出番」と「居場所」をいかに確保するかが重要課題となる。白書では約50年後の2060年(平成72年)には2.5人に1人が65歳以上となる超高齢社会を迎えるわが国において「人生65年時代」とされていた高齢者の捉え方を「人生90年時代」へと意識改革することが必要であるとしている。
そのためには、国全体が「高齢者=引退、隠居」といった概念から、望む人には「生涯現役」であることが可能な社会に変えていく実行力を持つことが望まれる。 ![]() |
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2012.06.25 |
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