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慰安旅行を実施する場合の税務上の注意点
● 慰安旅行に関する税務上の取扱い
  これから夏に向けて、社内で慰安旅行を計画しているところもあるだろう。慰安旅行は、従業員に対する慰労や、社内のコミュニケーションをよりスムーズにする等の目的で行われるが、税務的な側面もある。それは、慰安旅行についての経費が、税務上どのように取り扱われるか、ということである。
  一般的には、その旅行によって従業員に供与する経済的利益の額は、現物給与の取扱いになるが、その旅行が次のいずれの要件も満たすときは、原則として、その旅行の費用を旅行に参加した人の給与としなくても良いことになっている。
   (1)  旅行の期間が4泊5日以内であること
(海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること)
   (2) 旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること
(工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50%以上が参加すること)
  上記では、旅行の金額については触れられていない。実務上は、1人当たりの会社負担額10万円というのが、1つの目安とされている。これらの要件を満たさないときには、本人に対する給与となり、源泉所得税の徴収が必要になる可能性が高い(給与としての損金算入は可)。
● 不参加者への金銭支給は課税対象
  実際に慰安旅行を計画する場合には、上記の日程や参加割合に十分注意しておかなければならない。例えば、役員だけで行う旅行などは当然、福利厚生費にはならず、役員に対する賞与となる。役員賞与は損金にはならないため、源泉課税と合わせて、法人税課税も行われることになる。
  また、金銭との選択が可能な慰安旅行も、給与課税の対象となる。つまり、参加しなかった従業員に、その旅行代金に相当する現金を支給する、という場合である。この場合、参加しなかった従業員に支給した現金が給与になるのはもちろん、参加した従業員の旅行費用にも同様に課税が行われることになる。実施に当たっては、思わぬ課税がされないように、注意して頂きたい。
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
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2012.07.05
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