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人民元と円の直接取引始まる
● ドルを挟んだ取引から直接取引へ
  6月1日から日本円と中国の通貨「人民元」の直接取引が始まった。これまで日本企業などが元を買うには、円をいったんドルに換え、ドルから人民元に交換していた。直接取引は取引が2回から1回になり、為替にかかる費用が減るメリットがある。個人投資家の元への投資も広がるかもしれない。
● 徐々に規制緩和
  人民元は日本円のほか、マレーシアの通貨「リンギット」やロシアの「ルーブル」と直接取引ができる。台湾の「台湾ドル」とも近く直接取引を始めるようだ。中国政府はこれまで為替相場や資本の流出入をコントロールするため、人民元と外貨との交換を厳しく規制してきた。最近では為替相場に対する影響力を持ちながら人民元の国際的な利用を広げる戦略を進めており、円との直接取引もそうした戦略の一環といえる。
  円と人民元の直接取引が増えるには、人民元建ての決済が増えることが前提条件の一つだ。中国は輸出入企業が決済通貨として人民元を使えるように、段階的に規制を緩和し、中国の全貿易に占める元建て決済の比率はようやく1割に達した。ただ、現状では日中間の貿易決済に占める人民元建ての割合は1%以下。取引の大半を占めるドル建て契約が人民元建てに切り替わるには、一定の時間がかかりそうだ。
● 個人向けの元建て金融商品
  円と中国人民元の直接取引開始をきっかけに、個人向けの元建て金融商品も広がってきた。インターネット銀行の一部が人民元の普通預金と定期預金を開始。外国為替証拠金取引(FX)でも、元・円の通貨ペアを扱う業者が増えている。
  かつては通貨切り上げの思惑から人民元の上昇が続いていたが、最近の円高で元の対円レートは必ずしも元高になっていない。対ドルでの円安傾向がより鮮明になれば、元・円の個人取引も広がる可能性がある。
2012.07.05
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