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分譲マンションにおける地震保険加入の盲点
■ 地震保険の契約件数は向上
  2012年6月18日、損害保険料率算出機構は、2011年度末の地震保険の保有契約件数は、1,408万8,665件と前年度に比べて10.5%増えたと発表しました。伸び率としては、1995年度以来の二けたの伸び率です。
  このように地震保険の契約が増えている背景には、東日本大震災以降の地震リスクへの意識の高まりがあると思われます。
  最近は、世間話の中に地震保険が登場することがよくあります。
  例えば、東日本大震災で被災した分譲マンションのなかには、建物に大きな被害が出たにもかかわらず、いまだに手つかずのままになっているマンションがあります。それは、修繕積立金が十分になく、地震保険にも入っていなかったので、修繕費用がねん出できないためだと思われます。
  このような事態に陥らないようにするには、分譲マンションの場合、火災保険や地震保険の加入の仕方に、一戸建てとは異なる注意が必要となります。
■ 分譲マンションの火災保険・地震保険の留意点
  分譲マンションの居住者が加入できる火災保険の保険金額は、販売価格と比べて大幅に低く設定されています。その理由は、販売価格から土地代などが除かれることに加えて、居住者が保険に加入するのは専有部分に限られるからです。
  マンションには、専有部分と共有部分があります。専有部分の火災保険は、マンションの管理規約に基づいて「上塗り基準」が適用されるケースが一般的です。上塗り基準とは、専有部分と共用部分の境目を壁、天井、床など、部屋の内側とするものです(例えば壁紙は専有、壁そのものは共有部分にあたります)。火災保険では、柱や梁を除き内装(壁紙等)や付帯設備が保険の対象になります。したがって、マンションの資産価値とは、まったく異なる基準で保険金額が算出されます。

  専有部分の火災保険や地震保険は、入居者個々の意思で加入できますが、問題となるのは共有部分です。共有部分とは、エレベーターやエントランス、廊下などの他、柱、梁、壁も含まれます。これらの部分は、一般的には管理組合が火災保険に加入するかどうか判断します。したがって、地震保険への加入の可否も管理組合の判断になります。
  特に大規模修繕のための修繕積立金が十分積み立てられていないマンションの場合は、地震保険への加入は重要な検討事項となります。
2012.07.09
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