>  今週のトピックス >  No.2465
源泉所得税を引き忘れた場合の処理
● 外交員報酬は源泉所得税の対象
  個人(居住者)に支払う報酬・料金等で源泉徴収の対象となるものは、法令で個別に規定されているものに限る。原稿料、講演料、司法書士等への報酬、弁護士や税理士等への報酬、外交員への報酬などがある。
  一方、これらの報酬・料金等の源泉徴収税額の計算については、原則として支払金額に10%の税率を乗じて計算するが、報酬・料金等の種類、支払形態により計算方法が異なる。
  例えば、司法書士への報酬では1回の支払金額につき10,000円を控除後の残額に10%を乗じて計算する。しかし、税理士への報酬については、控除額はなく支払金額に10%乗じて計算する(100万円超の部分は20%)。また、外交員報酬については、その月中の支払金額につき120,000円を控除後の残額に10%を乗じて計算する。
  このように支払うべき内容によって源泉徴収の計算方法が異なるので、面倒でも新たな取引があるたびに、確認されたい。
参照:国税庁ホームページ「報酬・料金などの源泉徴収」
http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/gensen35.htm
● 報酬・料金等の課税漏れ税額を支払者が負担する場合
  本来なら源泉所得税控除後の残額を支払うべきところを、源泉徴収を失念し全額支払ってしまい、源泉所得税相当額については相手方に請求せず支払者が負担する場合、どのように処理したらいいのか迷うところだ。
  例えば、講演料の支払額は200,000円で、本来200,000円×10%=20,000円を源泉徴収した残額180,000円を講師に支払うべきところを源泉徴収し忘れた場合、納付すべき税額に相当する金額を税引手取額により追加で支払ったことになる。
  つまり、20,000円÷(1−0.1)=22,222円を講師に追加支払いしたことになり、追加支払額に相当する源泉所得税は22,222円×10%=2,222円ということになる。支払者は、講師に200,000円+22,222円=222,222円支払ったことになり、その源泉所得税は本来の20,000円と追加支払分の2,222円との合計22,222円となる。
  源泉所得税の徴収漏れについては、不納付加算税や延滞税の課税対象となるため、毎月忘れずに確認していただきたい。
  
今村 京子 (いまむら・きょうこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2012.07.26
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