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会計検査院、還付加算金の計算期間変更等で税金面で計60億円の改善効果
● 会計検査院、1兆円超の効果を上げる
  会計検査院がこのほど公表した「検査報告等に関する財務上の是正改善効果(平成23年試算)」によると、平成22年10月〜23年9月の1年間で1兆1197億円の是正改善効果があったことが明らかになった。
  その内訳は、「不当事項」100億円、「意見表示・処置要求事項」7262億円、「処置済事項」296億円、「国会からの検査要請事項に関する報告」3536億円となっている。平成22年試算が1340億円であり、同院がいかに力を注いだかが分かる。
  1件10億円以上の財務上の是正改善効果があったもののなかには、税金関係が2件あった。
● 法人税法等の一部改正で対応、33億円減少と推計
  まず1件は、確定申告後の更正に基づく中間納付額等の還付金に係る還付加算金の計算期間について、申告納税額の過誤納金に係る還付加算金の計算期間との均衡を考慮した適切なものとするよう、会計検査院が調査・意見を表示したもので、財務省への指摘金額が10億6509万円にのぼったケースである。
  財務省は、確定申告により確定した法人税・消費税が更正に基づき中間納付額等の還付金として還付される場合の還付加算金の計算期間について、確定申告書の提出期限の翌日から更正の日の翌日以後1月を経過する日までの日数はその計算期間に算入しないなどの法人税法及び消費税法の一部改正を行った。この結果、上記の還付加算金の計算期間が短縮され、平年度の還付加算金が33億円(平成22年試算)減少すると推計されている。
● 高額還付事案の早期処理で27億円の改善効果
  もう1件は、還付金が高額となっている申告について他の還付申告と区別するなどして支払事務に要する日数の短縮などにより、還付加算金の節減を図るよう改善処置を要求したもので、財務省への指摘金額は27億8942万円だった。
  国税庁は、同院指摘の趣旨に添い、平成22年7月に国税局等に対して事務連絡を発して、還付金額が高額な申告を他の申告と区分して優先処理するなどして高額還付事案の早期処理に努めることを指示した。
  各国税局等は、この事務連絡等に基づいて、平成23年3月までに、還付金額が高額な申告を他の申告と区分する際の具体的な金額の基準を設定して管内の税務署に通知するなどの処置を講じた。これにより、還付金の支払事務の適正化が図られた結果、同様の事態が未然に防止され、27億円(平成22年試算)の是正改善効果が生じたと推計されている。
  この結果、これらの2件による是正改善効果は計60億円にのぼる。
参照:会計検査院ホームページ「検査報告等に関する財務上の是正改善効果(23年試算)の公表について」
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/24/pdf/zeseikouka_h240711.pdf
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2012.07.30
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