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創業直後の消費税に注意!
● 消費税免税を最大限利用するためには
  ここ数年の消費税の改正により、個人事業や法人の創業直後の消費税の取扱いが変わってきている。事業立ち上げ時の消費税の取扱いとして有名なのは、「消費税の免税点制度」である。
  消費税は、基準期間(個人事業者についてはその年の前々年、法人についてはその事業年度の前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下である場合には、納税義務が免除される。ただし、資本金1,000万円以上の法人については、設立当初2年間の納税義務は免除されない。現在は会社法により、資本金1,000万円未満でも株式会社が設立できるようになったため、資本金1,000万円未満で法人を設立し、消費税の免税を最大限利用する、というのがセオリーとなっている。
  この免税点制度について、平成25年1月1日以後に開始する年または事業年度から、新しい制度が適用されることが既に決定している。改正後の免税点制度では、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であったとしても、特定期間※1の課税売上高が1,000万円を超えるときは、個人事業者のその年または法人のその事業年度については、納税義務が免除されない※2
  これにより、創業当初の消費税免税期間が短くなるケースも出てくるだろう。ただし、法人の設立1期目が7カ月以下等の場合には改正法が適用されないため、今後は、設立時期や事業年度を決める際にそのあたりの考慮も必要になる。
● 消費税還付は、慎重に検討を
  創業当初は投資が多く、消費税を免税にするのが有利とは限らない。売上と一緒に預かった消費税より、投資等で支払った消費税の方が多ければ、消費税は還付になる。ただし、この場合、免税事業者であれば「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者になる必要がある。ここでも近年、改正が行われており、いったん課税事業者を選択すると、最低3年間は課税事業者及び原則課税を継続しなければならない。安易に消費税還付を選択しても、それが有利になるとは限らないため、注意が必要である。
※1  個人事業者はその年の前年1月1日から6月30日の間、法人については原則、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヵ月の期間。
※2 特定期間中に支払った給与等の金額をもって、特定期間における課税売上高とすることも可能。
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
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◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2012.08.02
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