> 今週のトピックス > No.2471 |
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給与所得控除の改正が及ぼす生命保険販売への影響 | |||||||||||||||||
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![]() ● 給与所得控除の上限が頭打ちに
所得税(住民税)を計算する際、自営業者には必要経費が認められているが、給与所得者にもそれに相当するものがある。それが「給与所得控除」だ。
給与所得者の所得税(住民税)を計算する場合、給与収入から給与所得控除額を差し引いた給与所得が課税対象となる。これまでは収入金額に比例して控除額は大きくなる構造であり、1,000万円超の収入については、金額の5%+170万円が控除額として認められていた。例えば1億円なら控除額は670万円である。 しかし、平成24年度税制改正で給与等の収入金額が1,500万円超の場合には245万円を上限とする改正が行われた(所得税は平成25年から、住民税は平成26年度分から適用)。そのため、年収1,500万円超の給与所得者(中小企業の社長等)は、給与所得控除額が従来よりも減少し、実質的に増税となる。 ![]() ● 生命保険販売への影響
この改正により、中小企業の社長や役員の中には、役員報酬を引き下げて、その分を退職金準備に回し、将来、役員退職慰労金として受け取ろうとする動きが出ることも想定される。そして、この退職金のための資金準備手段として、生命保険の活用提案が有効となる。
例えば、長期の定期保険や逓増定期保険等、支払った保険料の一定割合を損金処理できる保険を活用して、退職金資金を準備する提案が可能である。 また、役員給与の給与所得控除に関しては、さらに懸念される動向がある。上記の給与所得控除の上限設定に加え、平成23年度税制改正大綱に「役員給与等に係る給与所得控除の見直し」が盛り込まれたが、この時は法案成立には至らなかった。これは収入金額が2,000万円を超える場合は、給与所得控除額を245万円から順次減額し、例えば2,500万円超3,500万円以下なら185万円、4,000万円超なら125万円とするというものであった。 この改正案は、24年度税制改正、社会保障・税一体改革大綱には盛り込まれなかったが、その一方で「給与所得控除については給与所得者の必要経費に比して過大となっていないか等の観点から、実態を踏まえつつ、今後、さらにそのあり方について検討する」と社会保障・税一体改革大綱の中に記述されており、これが役員給与から役員退職慰労金へのさらなる移行の要因となるのか、今後の動向に注目したい。 ![]() ● 役員報酬を引き下げて、役員退職慰労金を準備する際の注意点
一方、退職手当に対しても以下のような税制の改定が決まっており、役員退職慰労金の準備を検討する際には留意が必要となる。
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また、損金算入が認められる役員退職慰労金の適正額を算出するには、一般に「功績倍率法」が用いられるが、役員報酬を引き下げると最終報酬月額が減額されてしまい、結果として役員退職慰労金の適正額に影響を及ぼすことが想定される。
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● 功績倍率法
退職時の最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率(+功労加算金) ![]() ![]() ![]() http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei12/01/index.htm#01 ![]() ![]()
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2012.08.06 |
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