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人間ドック費用を会社負担とする際の注意点
● 人間ドックは会社経営に必要な経費か
  健康診断や人間ドックにかかる費用については、本来は個人が負担すべきものである。しかし、役員や従業員の健康管理は会社経営において必要である。そこで、税務においても一定の条件に見合うものについては、費用とすることができる。ケース事例で費用とできるかどうか見てみよう。
ケース1 役員(全2名)だけを対象に、人間ドックによる検診を受けさせた場合
ケース2 社内規程を設け、役員や従業員の全員を対象に、年齢35歳以上の希望者すべてについて、人間ドックによる検診を受けさせた場合
● 費用を損金算入するための注意点
  会社が負担した健康診断や人間ドックにかかる費用を損金算入とするためには、次のような条件がある。
役員や特定の地位にある人だけを検診の対象とするものでないこと。ただし、対象者を一定の年齢以上の従業員などに限定することもできる。
社会通念上、常識程度の費用であり高額でないこと。つまり役員や従業員の健康管理の必要から、一般的に実施されている健康診断や人間ドック程度のものであること。
会社がその費用を直接医療機関に支払っていること。例えば、従業員が先に現金で医療機関に支払い、後から会社が従業員にその負担額を支払うようなことをしてはいけない。
  先述の事例を検討すると、【ケース1】は役員2名だけに人間ドックを受けさせており全員一律でないため、この費用については役員に対する給与となる。また、定期同額の給与ではないため、賞与扱いとなる。ご承知の通り、役員に対する賞与は、法人税上全額損金不算入となり、役員個人においては源泉所得税の対象となり、まさしくダブルパンチとなる。
  一方の【ケース2】については、役員および従業員の全員を対象としているので、人間ドック費用を給与課税する必要はなく、全額会社費用とすることができる。
  健康診断費用や人間ドック費用について、その実施方法により税務上の取り扱いが異なるので、注意していただきたい。
  
今村 京子 (いまむら・きょうこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2012.08.09
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