> 今週のトピックス > No.2475 |
![]() |
女性の就業継続は、育休制度を利用しやすい“雰囲気づくり”がポイント | ||||||||||||
![]() |
![]() |
||||||||||||
![]() |
![]() ● 社内規定の整備周知だけでは不十分
厚生労働省は、7月6日「平成23年版 働く女性の実情」(女性労働白書)を発表した。「働く女性の実情」は、政府や研究機関等の各種統計調査を用いて、働く女性の状況等を分析した報告書で、昭和28年(1953年)から毎年公表している貴重な資料である。
報告書によれば、女性の継続就業・活躍推進に向けた方策として、育児休業制度など両立支援制度の活用に当たっては、社内規定の整備や制度内容の周知だけではなく、制度を利用しやすい雰囲気づくりが必要である。今後、少子高齢化が進むなか、女性の潜在力を引き出し、活躍を推進することが求められており、そのための環境整備は急務である。企業においてもこのような課題解決のためにはこれらの様々なデータを有効活用し、改革の足がかりとしていただきたい。 ![]() ● 育児休業取得者割合は、育児休業制度規定の整備の有無により大きく異なる
育児休業制度の規定が整備されている事業所における育児休業取得者の割合は85.2%と、整備されていない事業所の割合61.3%に比べ高くなっている。また、育児休業制度があり、制度を「利用しやすい」雰囲気があると、81.8%の女性が出産前と同じ仕事を継続している。
また、子どもを持つ前と後で管理職昇進や専門性向上等に関するキャリア意識が変わった人に理由を尋ねると、仕事のやりがい・評価や職場の両立支援のあり方が影響していることがわかる。特に「昇進や専門性の向上に興味がなく仕事以外の生活を充実させたい」に意識が変化した者(女性正社員)については、「残業など長時間働くことができないと評価を得られないから」(24.4%)、「仕事と育児との両立について、職場や上司の理解が得られないから」(23.1%)、「育児中の社員は、やりがいや責任のある仕事ができないから」(22.5%)などを挙げる者が多い。 一方、企業側の支援体制については、育児目的での両立支援制度利用者のキャリア形成支援のため、「育児休業の取得前、休業中、復帰直前などに面談を行っている」、「育児休業中に情報提供を行ったり、コミュニケーションを図っている」とする企業がある一方、半数は「特に行っていない」という結果だった。 ![]() ● 夫の家事・育児への関与時間の短さもネックに
夫の家事、育児に関与する時間が短いことも女性の就業継続を阻む要因のひとつであり、子育て期(25〜44歳)の男性の約5人に1人は週60時間の長時間労働をしていることが報告書からも明らかになっている。その結果、共働き世帯では妻が家事に関わる時間が約5時間半なのに対し、夫は約1時間と5分の1以下となっている。
少子高齢化が進むわが国は、女性も活躍できる全員参加型社会になることが望ましい。そのためには出産前後の就業継続率を高めていくことが重要であることはいうまでもないが、妊娠前に職に就いている女性の割合は増えているものの、第1子出生前後の就業継続率は39%前後で推移しており、2000年代後半までほとんど変わっていない。むしろパート・派遣職員の継続就業率は80年代後半と比較してみると、低下している。パート・派遣社員の育児休業利用率の推移をみても、5%以下の低い水準で推移しており、育児休業取得促進は大きな課題である。 また、妊娠・出産時の退職理由を調べたところ、「家事や育児に専念するため、自発的に辞めた」が正社員、非正社員とももっとも高い割合を示した。一方で正社員では、「就業時間が長い、勤務時間が不規則」、「勤務先の両立支援制度が不十分だった」とする回答割合も高くなっており、企業側も大いに見直しが必要な点である。 女性の継続就業を進めるためには、男女ともが仕事と家庭の両立、ワーク・ライフ・バランスを自らのこととして捉える必要があり、これらの報告書を受けて、できることからまずは1つ1つ具体的な行動を起こしていき、前に進むことが大切ではないだろうか。 ![]() http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002ea8h.html ![]() ![]()
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
2012.08.13 |
![]() |
|