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国税の滞納残高は13年連続で減少
―平成23年度租税滞納状況より―
● 滞納残高はピークの約48%まで減少
  今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高(滞納整理中のもの)が、前年度に比べ4.1%減の1兆3,617億円となり、平成11年度以降13年連続で減少したことが、国税庁がこのほど発表した「平成23年度租税滞納状況」で明らかになった。
  また、新規発生滞納額は前年度に比べ11.2%減の6,073億円と減少し、整理済額は同12.3%減の6,657億円と減少したものの、整理済額が新規発生滞納額を上回ったため、滞納残高も減少した。
  今年3月までの1年間(平成23年度)に発生した新規滞納額は、最も新規発生滞納額の多かった平成4年度(1兆8,903億円)の約32%まで減少した。また、平成23年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額)は1.4%と前年度を0.2ポイント下回った。滞納発生割合は、平成16年度以降、8年連続で2%を下回り、低い水準を維持している。
  この結果、滞納残高はピークの平成10年度(2兆8,149億円)の約48%まで減少した。
● 新規発生滞納額の約53%が消費税
  税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比5.2%減の3,220億円と3年連続で減少したが、税目別では7年連続で最多、全体の約53%を占める。一方で、整理済額が3,307億円と新規発生滞納額を上回ったため、消費税の滞納残高は2.0%減の4,169億円と12年連続で減少した。
  法人税も、新規発生滞納額は同28.1%減の737億円と3年連続で減少し、整理済額が826億円と上回ったため、滞納残高も4.9%減の1,754億円と4年連続で減少した。
  国税庁は、(1)新規滞納に関しては、全国の国税局(所)に設置している「集中電話催告センター室」での整理、(2)処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となって訴訟を提起して整理、(3)財産を隠ぺいして滞納処分を免れる案件については、国税徴収法の「滞納処分免脱罪」による告発で整理することで、効果的・効率的に処理している。
  景気低迷による税収減に加え、こうした新規滞納の未然防止、大口・悪質事案や処理困難事案を中心に厳正・的確な滞納整理を実施したことで、13年連続で減少したわけだ。ちなみに、滞納残高が1兆5,000億円を下回ったのは、1990年度以来19年ぶりとなった平成21年度から3年連続となった。
参照 国税庁「平成23年度租税滞納状況について」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/sozei_taino/index.htm
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2012.08.13
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