>  今週のトピックス >  No.2478
今年もやっぱり「夏の円高」
● 8月は円高になりやすい
  外国為替市場では「夏は円高になりやすい」という法則が今年も当てはまる展開となっている。対ドルでは一時1ドル=77円台、対ユーロでは1ユーロ=94円台に上昇する場面があった。8月3日に発表された7月の米雇用統計が市場予想を上回り、円安方向に振れているが、8月は特に注意が必要で、過去10年のうち8回が円高となっている。外貨投資をする人は夏の円高を見極めてからの方がいいかもしれない。
● 米国債の償還と輸出企業の為替予約
  夏に円高になりやすい理由ははっきりとはわからないが、8月は米国債の償還額が多いからという説がある。米国債をたくさん買っているのは、日本国内の生命保険会社や年金基金といった機関投資家たちだ。彼らは米国債の償還や利払いで得たドルを円に換えて国内に戻す。この時の円買いが円高をもたらすわけだ。
  もう1つの説が、自動車や電機など日本の輸出企業による為替予約だ。輸出企業は海外で製品をたくさん売ってドルやユーロなどの外貨を稼いでいる。一方、国内の工場で働く従業員には円で給料を支払う必要がある。そのため外貨を売って円を買うために為替予約をする。その為替予約が、お盆休みの前に集中しやすいという見方がある。
● 米欧の不透明さ変わらず
  こうした季節性に加えて、過去2年間は他にも円高の理由があった。1つは米国の景気減速を背景としたドル安。もう1つはユーロ圏の経済危機によるユーロ安だ。今年も過去2年と状況は変わっていない。引き続き米国の中央銀行は金融緩和の姿勢を見せているし、ユーロ圏ではスペインの財政・金融危機が深まっている。主要通貨のドルやユーロが売られれば、当然世界の投資マネーは円に流れ込んでくる。8月いっぱいは過度な円高を警戒した方がいいだろう。
(内容は8月6日時点のものです)
2012.08.16
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