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労働契約法が改正、5年超の非正規労働者は無期労働契約に
● 非正規労働者の待遇の改善に一歩前進か?
  契約社員やパートタイマーなど、雇用期間に限りのある人の雇用の安定を図るため、5年を超えて働いた非正規労働者が希望すれば、企業は期限のない雇用契約に転換することを義務付けた労働契約法の改正案が8月3日参議院本会議で可決され、成立した。
  改正法には、無期と有期との待遇に不合理な格差を設けてはならないと明記されており、今後の労務管理に大きな影響を与える可能性がある。
  今回の改正案は、パートタイマー等の非正規労働者の待遇の改善に大きく貢献することが期待できる一方で、雇用期間が5年を超える前に雇用者側が契約を打ち切り、無期雇用への転換から逃れようとすることも考えられ、一部の有識者から懸念の声もあがっている。
  改正労働契約法は、施行後に雇用者とパート等の間で結ばれたないしは更新した雇用契約が対象になるので、施行後5 年を経過する直前は、大きな動きがあると予測される。企業側としては、改正労働契約法の内容をよく理解したうえで、有期契約で働く労働者の労働条件等の見直しをとにかく早めに進めていくべきである。
● 改正法のポイント
1 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換
  有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合(※1)は、労働者の申込みにより、無期労働契約(※2)に転換させる仕組みを導入する。
(※1) 原則として、6か月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の契約期間を通算しない。
(※2) 別段の定めがない限り、申込時点の有期労働契約と同一の労働条件。
2 有期労働契約の更新等(「雇止め法理」の法定化)
  雇止め法理(判例法理) を制定法化する。(※)
(※) 有期労働契約の反復更新により無期労働契約と実質的に異ならない状態で存在している場合、または有期労働契約の期間満了後の雇用継続につき、合理的期待が認められる場合には、雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、有期労働契約が更新(締結)されたとみなす。
3 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
  有期契約労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、不合理と認められるものであってはならないと規定する。
施行期日: 2については公布日(平成24年8月10日)。
1、3については公布の日から起算して1年以内の政令で定める日。
参考:厚生労働省ホームページ「労働契約法が改正されました」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2012.08.27
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