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「10年遡って納められる」国民年金の後納制度が期間延長に
■ 空白期間の国民年金保険料を納付するチャンス
  国民年金は、20歳から60歳までの40年間のうち、25年間(300ヶ月)以上の納付期間がなければ、老後(原則として65歳以降)になっても年金を受給できません。過去に未納期間があったために、今後60歳まできちんと国民年金保険料を納めたとしても合計25年に達しない人への救済策として、また、国民年金の納付率の向上を目的に、国民年金保険料の「後納制度」の納付可能期間が時限的に延長されます。
  この後納制度は、納め忘れの国民年金保険料を遡って納めることができる制度で、これまでは納期限より2年を経過した場合、時効によって納付できなくなりましたが、平成24年10月1日から平成27年9月30日までの間に限り、過去10年間遡って納付することが可能になります。これにより年金の受給資格を得ることができる人もいるため、注目を集めている制度です。
■ 後納制度活用のメリット
  国民年金保険料は毎月納めるのが原則ですが、諸事情により納め忘れた保険料があると、将来受け取る年金額が少なくなったり、年金自体を受給出来なくなる場合があります。そのための救済措置が後納制度ですが、そのメリットは、大きく以下の2点となります。
   メリット@将来受け取る年金額が増額
   ⇒  1ヶ月分の後納保険料を納めることで、老後に受け取ることのできる年金が1年あたり約1,638円増額します。
   メリットA年金の受給資格が得られる可能性有り
   ⇒  年金の受給資格を得るための保険料納付期間が不足していた場合でも、受給資格を得られる可能性が発生します。
■ 後納制度の対象者
  後納制度を利用出来るのは、老齢基礎年金を受給していなくて、以下に該当する方です。
@20歳以上60歳未満の方 10年以内に納め忘れの期間(納付・免除以外)や未加入期間のある方
A60歳以上65歳未満の方 @の期間の他、60歳から65歳までの任意加入中に納め忘れの期間のある方
B65歳以上の方 65歳までに年金の受給資格を得られなかったために、65歳以降も任意加入を継続している方
■ 対象者には「お知らせ」と「申込書」を送付
  過去10年以内に納め忘れた保険料がある等、後納制度の対象となりうる方には、通常の年金保険料の納付書とは別に、平成24年8月から順次、「国民年金保険料の納付可能期間延長のお知らせ」と「国民年金後納保険料納付申込書」が日本年金機構から送付されます。
  なお、納め忘れが過去2年以内にしか無い方には送付されません。
参照:日本年金機構ホームページ
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=6221
  
野上 幸彦 (のがみ・ゆきひこ)
野上社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士
オーディオメーカー、建設コンサルティング、フードサービス業界での人事・営業職の経験を経て、平成19年に野上社会保険労務士事務所を設立。多業種経験を活かした人事・労務コンサルティングを行っている。
nogami-sr0021@st-paul.gr.jp
  
  
2012.09.03
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