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外来での高額な医療費も、限度額適用認定証で負担を軽減
● 4月からさらに使い勝手がよくなった高額療養費制度
  厚生労働省から「平成23年度 医療費の動向」が発表され、平成23年度の医療費が過去最高の37.8兆円になったことが明らかになりました。医療費の総額は前年度と比べると約1.1兆円増え、9年連続での増加だそうです。
  簡単には歯止めのかかる様子のない医療費の伸びですが、団塊世代が高齢期に差し掛かり、さらに高齢者が増えることや医療の技術革新など、医療費の増加要因には事欠かないため、医療費抑制の対策は困難を極めることが予想されます。
  一方で、公的保険制度には、医療費支払いの自己負担額を抑えてくれる高額療養費制度があることはご存じの通りです。仮にひと月で100万円の医療費がかかったとしても、自己負担額は9万円弱(87,430円、70歳未満の一般所得区分の場合)で済むという、“最強の医療保険”と言っていいほどの手厚い保障です。
  実際に、筆者も保険提案の現場において、特に医療保障ニーズのあるお客様には、高額療養費制度の説明を必ず加えますが、この制度について理解されている方は、以前に比べると増えてきたように感じます。
  通常、自己負担限度額を超えて支払った医療費はいったん本人が立て替え、超過分の費用が戻ってくるのに3か月程度かかりますが、入院の場合はあらかじめ「限度額適用認定証」を提示することで、医療機関での窓口支払いを自己負担限度額までにすることができます。
  そして、今年4月からは入院だけでなく、通院などの外来の場合でも、限度額適用認定証を提示することで高額療養費の申請をしなくても、自己負担限度額まで支払えば済むようになりました。
● 通院での抗がん剤治療などでは効果大
  近年では、抗がん剤治療など、通院で高額な治療費のかかるケースも増えています。このような方には、一度に大きな経済的負担が解消されるためメリットのある制度と言えるでしょう。
  ただし、高額療養費制度の対象になるのは、あくまで暦月(月の初めから末日までの間)にかかった医療費であることには注意が必要です。月をまたいでしまうと、それぞれの月で医療費が計算されますので、月単位のトータルの医療費が限度額を超えない可能性もあります。
  限度額適用認定証は、勤務先の健康保険に加入の方は協会けんぽや健康保険組合に、自営業など国民健康保険に加入の方は、市町村に申請することで交付を受けることができます。
  医療保険相談の際、限度額適用認定証の活用については、ぜひ加えておきたいアドバイスポイントではないでしょうか。
参照  厚生労働省ホームページ「高額な外来診療を受ける皆さまへ」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/gairai_sinryou/dl/120110-01.pdf#search='厚労省%20限度額適用認定証'
  
高橋浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2012.09.06
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