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パートタイマー45万人に社会保険の適用を拡大
● 4年後から約45万人のパートタイマーが社会保険に加入
  8月10日、社会保障と税の一体改革の一環として、パートタイマーへの社会保険の適用拡大や産前産後休業期間の保険料免除などの法案が参議院で可決・成立した。パートタイマーへの社会保険の適用拡大により、約45万人の方が新たに対象となる見込みである。
  社会保障と税の一体改革では当初、約370万人の非正規労働者の社会保険への加入を促進する政府方針があったが、結局のところ産業界の反発が強く、まずは501人以上の従業員を雇用している企業のみを対象として、実施することとなった。しかし、500人以下の企業であってもその3年後には、同様に実施される可能性も高く、今後の動きに注目する必要があるといえる。
● 実務担当者が押さえておきたい3つの改正事項
1 パートタイマーへの社会保険適用拡大(平成28年10月施行分)
  現在、パートタイマーは、1日又は1週間の労働時間が正社員の概ね3/4以上で、1ヶ月の労働日数が正社員の概ね3/4以上である場合、社会保険の強制加入となっている。今回、これらに加えて以下の基準をすべて満たすパート労働者(学生を除く)についても、適用対象とする。
1 「週所定労働時間が20時間以上」
2 「賃金が月額88,000円以上」
3 「勤務期間が1年以上」
4 「従業員501人以上の規模である企業に使用されている」
  なお、施行後、3年以内に検討を加え、500名以下の企業については、平成31年9月30日までに検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずる。
2 厚生年金標準報酬月額の下限改定(平成28年10月施行分)
  標準報酬下限(98,000円)の引下げを行うこととし、健康保険制度と同様に、標準報酬月額等級に新たに以下の等級を加え、従来の等級を繰り下げる。
第1級 88,000円:報酬月額83,000円以上 93,000円未満 の場合に該当
3 産休期間中の保険料免除(公布の日から2年の範囲内で政令で定める日)
  次世代育成支援のため、産前産後休業期間中の社会保険料を免除することに改定する。現行は、産前産後の産休14週間後に「育児休業」を申し出た際、この育児休業期間中の期間のみ社会保険料が免除されることになっている。
参照 :日本年金機構ホームページ「年金委員のページ 8.15国民年金法及び厚生年金法の一部を改正する法律が成立しましたのでお知らせします。」
http://www.nenkin.go.jp/n/www/sic/pdf/news_02.pdf
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2012.09.10
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