>  今週のトピックス >  No.2493
少額減価償却資産と一括償却資産をうまく活用しよう
● 少額減価償却資産の特例、適用の注意点
  中小企業や個人事業者が物品を購入した場合、それが資産となるか経費となるかで、利益は大きく変わってくるため、その分岐点を正しく理解しておくことが重要である。
  経費として処理するためには、取得価額が10万円未満(1単位当たり、以下同様)であるか、使用可能期間が1年未満であるか、いずれかの条件を満たさなければならない。使用可能期間が1年以上で、取得価額が10万円以上の物は、原則として資産計上となる。
  ただし、中小企業には特例が用意されている。具体的には、青色申告法人である中小企業者等については、取得価額が30万円未満の減価償却資産については、損金経理を要件として、取得価額全額を事業の用に供した事業年度において損金計上することができる。
  この「少額減価償却資産の特例」を適用するためには、いくつか注意点がある。取得価額が30万円“未満”であるため、ちょうど30万円の資産は対象外となる。なお、30万円未満であるかどうかは、税抜経理か税込経理かによって変わってくる。税抜経理の場合には税抜で30万円未満の資産が対象となる。税込経理の場合には、税込で30万円未満の資産が対象となるため、注意したい。
  また、少額減価償却資産の特例の適用を受けるためには、事業の用に供していることが必要となる。例えば、1台当たり30万円未満のパソコンを購入したとしても、事業年度末の段階で箱に入ったまま使用していない、という状態では適用対象外となる。
● 一括償却資産も活用する
  しかしながら、少額減価償却資産の特例には、適用限度額が設定されており、年間300万円が限度とされている。設備投資の多い業種の場合には、この300万円基準を超えてしまう場合がある。このような場合は、「一括償却資産の損金算入の規定」を利用する。一括償却資産は、取得価額20万円未満の資産について、3年均等償却が認められる制度で、少額減価償却資産と違って、青色申告法人である中小企業者等に限定されていない。また、一括償却資産は償却資産税がかからないというメリットもある。中小企業や個人事業者は、少額減価償却資産と一括償却資産をうまく使いこなして頂きたい。
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
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◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2012.09.13
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