> 今週のトピックス > No.2495 |
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8月10日法案成立、押さえておきたい年金制度の改定点 | |||||||||||||||||||||||||
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8月10日に「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案」、「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」が成立し、社会保険分野においても改定が行われることとなった。
![]() ● 受給資格期間の短縮(平成27年10月1日施行)
老齢基礎年金、老齢厚生年金の受給資格期間が25年から10年に短縮される。納付した保険料に応じた給付を行い、将来の無年金者の発生を抑えていくという観点からの改定である。
現在、無年金者である高齢者に対しても、改正後の受給資格期間を満たす場合には、経過措置として、施行日以後、納付済み期間に応じた年金支給を行う。 ![]()
■ 65歳以上の無年金者(約42万人)の納付済期間の分布
第10回社会保障審議会年金部会(平成24年2月6日)資料
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これにより、高齢者約42万人の無年金者のうち、約17万人が平成27年10月から年金を受給できることになる。また、将来無年金者となることが予想される約118万人のうち、約47万人に受給権が発生すると予測される。
![]() ● 遺族基礎年金の父子家庭への拡大(平成26年4月1日施行)
遺族基礎年金については、母子家庭には支給される一方で、父子家庭には支給されないという男女格差を解消すべきとの考えから改定となった。
具体的には、遺族基礎年金の支給対象を「子のある妻または子」から、「子のある配偶者または子」とし、子のある夫が追加された。 この改定により、妻が家計を担っている家庭に対する保障が行われることとなった。他の男女格差のある遺族年金(寡婦年金、中高齢寡婦加算、夫の遺族厚生年金の年齢要件等)の取扱いについては、引き続き検討を進めることとなる。 ![]() ● 被用者年金の一元化(平成27年10月1日施行)
共済年金制度と厚生年金制度の保険料率や給付内容に関する相違点は、原則として厚生年金に合わせることで、被用者年金を一元化することとなった。
共済年金の加入者約442万人(平成22年度厚生年金保険・国民年金事業年報より)に影響が及ぶことになる。 <保険料率>
平成24年8月現在、労使計の保険料率は、厚生年金16.412%、公務員共済15.862%、私学共済13.292%となっているが、このうち公務員共済と私学共済についてはそれぞれ厚生年金の水準に引き上げる。保険料率が18.3%で横並びになるのは、厚生年金が平成29年、公務員共済が平成30年、私学共済が平成39年である。<給付内容>
公務員共済の報酬比例部分に一定の加算が行なわれている、いわゆる「職域加算部分」が廃止となる。しかし、廃止と同時に新たな年金制度を設けることが予定されており、単純な廃止ではなく一定の加算が残るものと思われる。公務員の遺族共済年金にある転給の制度を、遺族厚生年金に合わせて廃止する。転給の制度とは、労災保険の遺族給付と類似した制度で、受給権者が死亡等のために失権した場合に、次順位者が受給権者となる制度のことである。 一定の要件を満たした配偶者、子、父母、孫、祖父母の順に受給権者となれる手厚い制度であるが、廃止が決定した。 ![]()
しかしながら、年金制度の抜本改革(年金支給開始年齢の引上げや第3号被保険者制度の見直し)や新年金制度は先送りとなった。全国民に影響のある社会保険制度の改定は生命保険販売やライフプラン提案において、お客様への貴重な情報提供であり、今後の動向を注視したい。
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参照 :内閣官房ホームページ「社会保障・税一体改革に関連する国会提出法案等」より
「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案」 「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/houan.html ![]()
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2012.09.18 |
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