> 今週のトピックス > No.2498 |
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日本航空が再上場、時価総額は今年最大規模に | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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日本航空(以下JAL)が、9月19日に2年7ヵ月ぶりに東証1部に再上場した。時価総額は国内で今年最大規模となる。
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1)時価総額と売り出し価格
10日に決まったJALの売り出し価格は3,790円。事前に提示されていた仮条件(3,500年〜3,790円)の上限で決定した。売り出し価格に発行株数1億8,135万2,000株を乗じた時価総額は約6,873億円で、米フェイスブック(ナスダック市場)に次ぐ今年2番目の大型上場となる。 航空会社の時価総額としては、全日本空輸(以下ANA)の約6,329億円をしのぎ、シンガポール航空(約7,800億円)、中国国際航空(約7,200億円)に次ぐ水準である。 ![]()
2)高い評価
今回の上場でJALは高く評価されているが、その背景には収益力の高さがある。2012年3月期の売上高はANAの方が高いが、連結営業利益ではJALが2,049億円とANAの約2倍である。売上高営業利益率はJALは17.0%とANAの6.9%を大きく上回り高い評価を得ている。 ![]()
※売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100
※各社データを基に(株)FPウィム社作成 ![]()
3)要因
営業利益を押し上げた要因は主に3つあり、1つ目は不動産賃料や光熱費の削減である。事業部門ごとに採算制度を取り入れ、部門ごとに利益を出すことが求められた。収入が減った部門では支出を抑え、利益を確保しなければならず、光熱費を削減したり、家賃交渉などを行い利益を確保した。 2つ目は人件費の削減である。グループの従業員数を4万8,000人から3万2,000人に削減し、従業員の給料を20%から30%程度削減した。基本給や手当などを大幅に見直し大きな支出減となった。 従業員の給料が大きく下がったため、生活設計に大きな影響が出る。筆者は当時、JAL従業員のライフプラン相談を受けたことがあった。収入が減った分、無駄な支出を大きく見直し、生活設計を立て直すお手伝いをした。そのときの感想は、経済環境の大きな変化に個人の生活設計を対応させることの難しさを痛感させられたことが今でも忘れられない。 3つ目は為替である。JALの場合、1円円高になれば20億円程度の営業利益が押し上げられる。期初は85円で収支計画を立てたが、通期の平均為替レートが79円であったため、6円程度の効果があり、営業利益が120億円程度押し上げられたことになる。 ![]()
4)投資家心理
売り出し価格の上限で価格が決まったことから、上場後も人気をよぶという声も聞こえる反面、2010年の上場廃止以前に購入した投資家は、上場廃止とともに紙くずになってしまい、同じ銘柄は購入したくないという声も聞こえる。 その後、企業再生支援機構が資金を援助し、大胆なリストラなどを行った結果、2年半で再上場となった。機構は3,000億円弱の売却益を得られることになるが、株券が紙くずとなってしまった投資家は複雑な心境ではないだろうか。 ![]()
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2012.09.20 |
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