>  今週のトピックス >  No.2501
グループ法人間における合併の活用
● 複数法人を所有するメリット
  同族会社の場合、同族オーナーが複数の法人を所有しているケースがある。税務面から考えた場合、別法人を立ち上げるメリットはいくつか考えられる。
  まずは、「中小企業者等の法人税の軽減税率」について、年間800万円の枠を複数利用できることである。グループ全体で所得が800万円を超える場合にはメリットがある。「中小企業者等の少額減価償却資産の特例」についても、取得価額の合計額が年間300万円までとされているため、別法人設立により、枠を増やすことができる。他には、期末資本金1億円以下の法人(資本金等の額が5億円以上である法人の100%子法人等を除く)に対する「交際費等の定額控除限度額」(600万円)も同様である。
● グループ法人が赤字の場合に
  当初はこのようなメリットも考慮し、それぞれに役割を持たせて設立した場合であっても、期間の経過によって、今では別法人にしている具体的メリットがあまりない、という場合がある。例えば、グループ法人の1つが黒字、もう1つが赤字という場合である。連結納税を選択しない限りは、これらの損益は通算することができない。このような場合、1つの方法として合併がある。
  合併には、税務上「適格合併」と「非適格合併」があり、適格合併の場合には、譲渡損益を認識せずに、被合併会社の資産等を簿価で合併法人に移転する。適格合併の要件は複雑であるためここでは省略するが、グループ法人間の合併の場合には、適格合併となるケースが比較的多いだろう。適格合併の場合には、一定の要件を満たせば、被合併法人の繰越欠損金を合併法人が引き継ぐこともできるため、過去の損益通算も可能となる。
● デメリットと注意点
  ただし、デメリットも考慮しておく必要がある。まず、合併をする場合、冒頭で紹介したようなメリットは当然受けられなくなる。また、合併をするのに、公告や合併登記、司法書士への手数料など、一定のコストがかかる。被合併法人が官公庁等の許認可を受けている場合には、合併によって許認可が消滅してしまうため、そのあたりの注意も必要となる。
  実際に合併の手続をする場合には、合併までの期間は約2ヶ月程度は見ておきたい。実行に当たっては、税務面での検討と事前のスケジューリングがポイントとなる。
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
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2012.09.27
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