>  今週のトピックス >  No.2502
米QE3で、米株は4年9カ月ぶりの高値
● 量的緩和第3弾
  米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が9月13日に、景気をてこ入れする目的で量的緩和第3弾(QE3)の導入を決めた。大規模な金融緩和策に金融市場は好感。14日の米ダウ工業株30種平均が1万3,593ドルと2007年12月10日以来、約4年9カ月ぶりの高値となるなど、株などのリスク資産が買われた。果たしてQE3の効果は持続するだろうか。
  量的緩和(QE)とは中央銀行がお金を刷って、市場から国債などの金融資産を大量に買い上げる政策だ。市場に供給した大量のお金が銀行を通じて企業や個人に行き渡り、投資や消費が活発になることを期待している。米国でも政策金利が事実上ゼロとなっていて、さらに下げる(つまり金融緩和する)余地がなく、非常手段といえる。今回のQE3では国債ではなく、MBSと呼ばれる住宅ローンを担保とした証券を大量に買い、住宅市場のてこ入れも狙っている。
● 発表当初はリスク資産が買われる
  QEはFRBが景気や雇用をてこ入れする手段なので、発表当初株などのリスク資産が買い戻される。特に株式市場へのプラス効果が大きいのが特徴だが、今回は低迷する通貨ユーロも大きく買い戻されている。原油などの商品市場への影響も大きい。
  筆者は年初に執筆した「今週のトピックスNo. 2369」で「米大統領選を控えるオバマ大統領も、今年は雇用対策などの経済運営を必死でこなすだろう。米・中という2つの経済大国が経済運営を間違えなければ、世界経済は徐々に回復していく」と予想した。
  中国では10月に胡錦濤国家主席ら最高指導部が交代する共産党大会があるが、やはり9月の上旬に総額1兆元(約12兆円)規模の公共投資を認可したばかり。予想通り米中の経済当局が景気のてこ入れに必死になっている。
● 効果持続には疑問符
  ただ、米国は2010年3月にかけてQE1、同年11月からQE2と実施してきたが、いずれもそれほど効果がなかったため今回のQE3に至った経緯がある。FRBがいくら資金を市場に供給しても、それを使う企業や投資家が現れないと意味がない。欧州の景気低迷は言うに及ばず、新興国でも経済が変調をきたしている現在、効果持続には疑問符が付く。年末年始が山場になりそうだ。
(内容は9月18日時点のものです)
2012.09.27
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