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ブーム再来?! 海外暮らしの成功のポイント
  団塊世代を中心に人気を博していた海外ロングステイ。人気のあるオーストラリアのロングステイ・ビザの新規発給が停止されたことから、ブームは陰りをみせていました。
  ところが、今度は30・40歳代を中心とした海外ロングステイ(海外移住)ブームの再燃の兆しが見えてきています。
  30・40歳代が海外に目を向け始めている大きな要因としては、東日本大震災後の不安や日本の年金の不安などから……。海外を目指す多くの人たちは、日本での生活をリセットして海外へ出ています。だからこそ、海外での暮らしを成功させたいものですね。
● 現地でどのような暮らしを望むのか明確にする
  海外暮らしを成功させるために大切なことは、具体的な目標や暮らし方が明確に定まっていることが必要です。どのようにして生活費を稼いでいくのか、例えば週末はゴルフ三昧の生活をする、スキューバダイビングを楽しむ、日本語を教えるなど、さまざまなことが考えられます。自分たちのやりたいこと、叶えたい夢などを家族で話し合い、何をするのか、したいのかを明確にすることが必要になります。
  その他、どのような地域で暮らしていくのかも欠かせないポイントです。同じ国であっても、地域によって治安は違ってきます。もちろん治安は良い地域のほうが住まいにかかるコストは高くなりますが、慣れない海外暮らしですので安全を確保することはとても重要になります。
  人気があるのは35歳から永住権の取得が可能なフィリピン。資産要件も数百万円あれば永住権が取得できますので、若い世代でも移住しやすいようです。
● 予算をシミュレーションしよう
  日本でのすべての生活をリセットして海外移住するケースもありますが、可能であればロングステイを決める前にショートステイを経験するなど、現地に慣れてから日本の生活をリセットしても遅くはありません。日本へ戻ることも想定して、“行きやすく帰りやすい”状態にしておくとよいでしょう。
  「海外で暮らす=生活費が安い」というイメージがありますが、それは現地での生活費のみを考えている場合になります。日本に住まいなどが残っていればコストがかかってきますので、海外でかかる費用と日本でかかる費用をトータルで試算することが必要です。
  また、日本で暮らす両親の面倒はどのようにするのかも大きなポイントです。
  実際に数年の月日を費やし永住権を取得したものの、両親の介護のために日本に戻らざるを得ないというケースも少なくありません。自分のキャリアプランと親の介護は切っても切れないもの。万一のことを想定したプラン作りが重要です。
● マイナスだけでなくプラスの要素が成功に導く
  シニアのロングステイと違い、30・40歳代の場合、日本での生活に不安を感じて……というようなマイナスの要素を動機とした移住が大半となります。とはいえ、移住先での生活のすべてに満足できるかというとそうとも限りません。自分のなかで妥協点を見つけるとともに、その国や地域でどのように生活したら幸せか、家族にとって大切なことは何かを考え、イメージに近づけられるよう努力することも欠かせません。
  ただ生活を楽しむだけではなく、仕事や子どもの教育問題などクリアしなくてはならないことがたくさんあります。移住した後の職探しに苦労しているケースが少なくありません。海外で暮らす前あるいは暮らした後に、迷ったり、困ったりすることがあればそのままにせず、その都度クリアにしていき、モチベーションをキープしていくことも、成功には欠かせないポイントになるでしょう。
  
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
  金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
  海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。
  
2012.10.01
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