>  今週のトピックス >  No.2504
「銀行窓販で一時払い終身のトラブルが急増」と国民生活センター指摘
● この1,2年で「高齢者への不適切な勧誘が急増中」と発表
  平成24年4月、独立行政法人国民生活センターは報道発表資料として「銀行窓口で勧誘された一時払い終身保険に関するトラブル」を公開した。資料によると、銀行窓販におけるトラブルは全体では減少ないしは横ばい傾向にあるが、一時払い終身保険に関するトラブルは急増していると指摘している。また、6月の金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」(第2回)で、審議会の委員からもトラブルの事例が紹介されている。
  これらのトラブルには、銀行窓販特有の問題によるものもあるがその他に、一般に一時払い終身保険を販売する際に陥りやすい事象もあるため、ここでいくつか紹介したい。
  まず、「3 年経過すれば利息が出て、しかも元本保証」などと、保険契約を「元本保証」と説明して勧めるケース(70歳代女性)が紹介されている。実際にこのような説明が行われたのであれば、これは契約者の理解不足などではなく、そもそも虚偽の説明をしており許されることではない。
  次は「解約返戻金に関する説明不足」である。この事例では一時払い保険料1500万円の終身保険に加入し、8か月後に解約したところ解約返戻金が1430万円であった。解約時にはデメリットがあるとの説明はあったが、実際の損失額の説明がなかった(70歳代男性)という事例である。
  また、「消費者の意向に合致していない商品の勧誘」として、「すぐにお金が引き出せる商品」や「元本保証の商品」を求めている顧客に対して一時払い終身保険を販売した(80歳代女性)という事例も紹介されている。
● 「正しい理解、正しい判断、ニーズに合った契約締結」
  1つ目の事例は論外として、2つ目については「契約概要」などの所定の販売資料を利用し、具体的な解約返戻金額や、解約返戻金が一時払い保険料を下回る期間について説明を尽くす必要があったと言える。また、3つ目については「意向確認書面」等で顧客の意思をはっきりと確認すべきであった。
「正しい理解、正しい判断、ニーズに合った契約締結」
  これは、前述の金融審議会の資料の中の言葉である。顧客向け文書の目的として言及された言葉であるが、一般に保険募集を行う際、顧客に正しく理解していただき、正しい判断をしていただき、そのうえでニーズに合った契約締結をしていただくということは常に心に留めておくべきであろう。
参照 :国民生活センターホームページ「銀行窓口で勧誘された一時払い終身保険に関するトラブル−高齢者への不適切な勧誘が急増中−」
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120419_1.html
2012.10.01
前のページにもどる
ページトップへ