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雇用調整助成金の支給要件等を変更〜平成24年10月1日以降〜
  雇用調整助成金(および中小企業緊急雇用安定助成金)は、景気変動その他の経済上の理由により事業の縮小を余儀なくされ、休業及び教育訓練または出向を行った事業主に対して、休業手当、賃金、または出向労働者に係る賃金負担額の一部を助成するもので、失業の予防を目的としています。
  平成20年秋のリーマン・ショックを受けて助成内容が大幅に拡充されましたが、その後の雇用情勢の改善や提言型政策仕分けの指摘を受け、平成24年10月1日以降、支給要件等の見直しが実施されます。尚、被災3県(岩手、宮城、福島県)の事業所については、6ヵ月遅らせての実施となります。
平成24年10月改正
@生産量要件の見直し→生産量要件が従来に比べ厳しくなります
<従来>最近3ヵ月の売上高または生産量が、その直前3ヵ月または前年同期と比べ5%以上減少
<改正>最近3ヵ月の売上高または生産量が、前年同期と比べ10%以上減少
(平成24年10月1日以降に対象期間が設定された場合に適用)
中小企業事業主で、直近の経常損益が赤字であってもこの要件が適用されます。
A支給限度日数の見直し→休業した場合に、休業手当相当額(上限あり)の2/3(中小企業は4/5)が支給されている支給限度日数の特例が見直されます
<従来>3年間 300日(1年間での限度なし)
<改正>1年間 100日 3年間 150日
(1年100日は平成24年10月1日以降、3年150日は平成25年10月1日以降に対象期間が設定された場合に適用)
B教育訓練費として支払われている賃金相当額(上限あり)の2/3(中小企業は4/5)に加算して支払われていた事業所内訓練の加算額の引き下げ
<従来>大企業 (雇用調整助成金)2,000円  中小企業 (中小企業緊急雇用安定助成金)3,000円
<改正>大企業(雇用調整助成金) 1,000円  中小企業 (中小企業緊急雇用安定助成金)1,500円
(平成24年10月1日以降の判定基礎期間から適用)
  この見直しは2段階に分けて実施されることになっており、平成25年4月には「助成率の引き下げ」、「労働者を解雇しなかった場合及び休業させた場合の助成率の上乗せ廃止」、「教育訓練費(事業所外訓練)の引き下げ」が実施されます。今回の見直し(支給要件等の厳格化)の背景には、架空の休業申請等の不正受給の多発が少なからず関与していると考えられます。事業主の皆さんには、公的助成金制度の主旨に沿った形での有効活用をお願いしたいものです。
「雇用調整助成金」、「中小企業緊急雇用安定助成金」の制度詳細につきましては下記をご覧下さい。
参照:厚生労働省ホームページ「雇用調整を行わざるを得ない事業主の方へ」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a-top.html
  
野上 幸彦 (のがみ・ゆきひこ)
野上社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士
オーディオメーカー、建設コンサルティング、フードサービス業界での人事・営業職の経験を経て、平成19年に野上社会保険労務士事務所を設立。多業種経験を活かした人事・労務コンサルティングを行っている。
nogami-sr0021@st-paul.gr.jp
  
  
2012.10.04
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