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「勤労者 心の電話相談」年間2万9千件超で過去最高に
● 11年連続で前年度を上回る相談件数
  このたび、独立行政法人労働者健康福祉機構は、「勤労者 心の電話相談」における相談状況について発表した。同電話相談は、労働環境の急激な変化に伴い、職場におけるストレスが増加していることや、平成10年に自殺者数が急激に増加し3万人を超えた状況をふまえて平成12年から実施されている。
  専門のカウンセラーが、勤労者やその家族が抱える心の問題について助言等を行っているが、相談件数は11年連続で前年度を上回っている。平成23年度においては、勤労者及びその家族等からの相談件数は、前年度より1,391件増加し、過去最高の29,209件となった。
独立行政法人労働者健康福祉機構「勤労者 心の電話相談」ニュースリリースより
● 職場の人間関係に関する相談が増加
  発表された調査結果では、相談の内容を「職場」、「自身の心理的悩み」、「体調」の3つに大別している。
  職場に関する問題では、「上司との人間関係」に関する相談が2,904件と最も多く、次いで「同僚との人間関係」に関する相談が2,325件、「その他の職場における人間関係」に関する相談が1,851件となっており、いずれも昨年度より増加している。
  自身の心理的悩みに関する問題では、「将来に対する不安感」が10,097件と最も多く、次いで「落ち着けない」が7,718件、「イライラ・不安定」が6,596件となっている。
  体調に関する問題では、「不眠」が2,171件と最も多く、次いで「疲れやすい」が1,390件となっている。
  これらの3つの相談内容の中では、職場に関する問題が増加しており、具体的には下記のような相談事例があがっている。
パワー・ハラスメントを受けるなど、上司との人間関係に関する相談
新しい仕事が覚えられない、慣れない、周囲に相談できないなど、職場環境に関する相談
減給されて生活に困る、自分にあった仕事がないなど、働くことに関する相談
  パワー・ハラスメントについては、最近かなり注目されており、厚生労働省でもその定義を発表するなど力を入れているところである。企業内においてもパワハラ研修やパワハラ対策規程の作成などに着手しているところも増えてきている。
  パワー・ハラスメントがきっかけで、結果的に大きな労使トラブルに発展することも多く、企業としては、このような勤労者のアンケートを参考にしてポイントを押さえながら適切な労務管理をしていけるようにまずはできるところから早急に着手したいところである。
参考 :独立行政法人労働者健康福祉機構ホームページ>勤労者の心の健康づくりの推進>
○平成24年度プレス発表資料 http://www.rofuku.go.jp/Portals/0/data0/kanrenshisetu/pdf/h24kokoro_sodan_press.pdf
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2012.10.09
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