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税務調査手続き等の先行的取組みを10月から実施
● 事前通知と修正申告等の勧奨の際の教示文の交付を先行実施
  平成23年度税制改正において国税通則法等が改正され、税務調査手続きについて現行の運用上の取扱いを法律上明確化するなどの措置が講じられている。今回の改正は、原則として平成25年1月1日以後に開始する調査から適用されることになるが、国税庁では、法施行後における税務調査手続き等を円滑かつ適切に実施するため、今年10月1日以後に開始する調査から一部の調査手続きについて先行的に取り組むことを予定している。
  先行的に取り組むのは、(1)事前通知と(2)修正申告等の勧奨の際の教示文の交付の2つの調査手続きである。
  事前通知については、実地調査を行う場合は原則として、あらかじめ電話等により、納税義務者や税務代理人と調査開始日時について日程調整をした上で、法定化された事前通知事項(実地の調査を行う旨、調査開始日時、調査開始場所、調査の目的、調査の対象税目など11事項)を納税義務者と税務代理人の双方に通知することとする。
  次に、修正申告等の勧奨に当たっては、納税義務者や税務代理人に対し、「不服申立てをすることはできないが、更正の請求をすることはできる旨」を説明するとともに、その旨を記載した書面を交付する。また、調査開始日時等の変更の申出や提出物件の留置き・返還など、その他の税務調査手続き等については、一部の調査手続きを除き、法施行後の調査手続きに準じて、各手続きを実施することとする。
● 先行的取組みでは実施しない主な調査手続き
  先行的取組みでは実施しない主な調査手続きでは、例えば、法施行後は、実地調査の結果、調査した全ての税目及び課税期間のうち、非違が認められなかった税目及び課税期間がある場合には「更正決定等をすべきと認められない旨の通知」を送付することになるが、先行的取組みにおいては、従来通り調査した全ての税目及び課税期間について非違が認められなかった場合で、かつ指導事項がない場合に「調査結果のお知らせ」を送付する。
  また、法施行後においては、全ての処分(申請に対する拒否処分及び不利益処分)に理由附記を行うことになるが、先行的取組みにおいては、現行法令に基づき理由附記(青色申告書に係る更正や青色申告の承認の取消処分など)を行う。
  そのほか、法施行後においては求められる、教示文を交付する際の署名押印や預り証を交付する際の署名押印は、先行的取組みにおいては求められない。
  なお、先行的取組みの期間に開始した調査について、平成25年1月の法施行後も調査を継続する場合、平成25年1月以降に実施する調査の終了の際の手続きは、運用上、新法に準じて行うこととされている。
参考 :
日本税理士会連合会ホームページ「税務調査手続等の先行的取組の実施について(H24.9 国税庁)」
http://www.nichizeiren.or.jp/taxaccount/pdf/senkoutorikumi120913.pdf
国税庁ホームページ「納税環境整備に関する国税通則法等の改正」について(H24.9.13)」
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/01.htm
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2012.10.09
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