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税や制度の利用で変わる住宅購入コスト
  ご存知の通り「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」が可決され、消費税増税が決まりました。平成26年4月から8%、27年10月からは10%にそれぞれ消費税率が引き上げられます。
  値段の高いものほど消費税アップの影響が大きいことや、低金利が続く住宅ローンの状況などもあり、住宅購入の検討を始める人が増えてきたように感じます。
  そこで、住宅購入の際の消費税や関連制度について、あらためて確認してみましょう。
● 土地価格には消費税はかからない
  まず、押さえておきたいポイントは、土地の売買代金には消費税がかからないこと。建売住宅の場合でも、取得価格の中で土地価格については消費税がかからず、建物価格にのみ消費税がかかります。
  例えば、土地価格2000万円、建物価格2000万円の住宅を購入する場合の消費税のコストを比べてみましょう。
  消費税5%であれば、建物2000万円に対して消費税100万円がかかり、総額4100万円。これが消費税8%になると総額4160万円、10%で4200万円となり、結果として8%で60万円、10%で100万円のコストアップになります。
  この他、住宅購入に伴う諸費用にも、消費税のかかるものとかからないものがありますので整理しておきましょう。
消費税のかかるもの 消費税のかからないもの
 ・ オプション費用(エアコンやカーテンなど)
 ・ 仲介手数料(主に中古住宅)
 ・ 司法書士への報酬
 ・ 融資手数料
団体信用生命保険
 ・ 火災保険
 ・ ローン保証料
 ・ 管理費、修繕積立金
  ここで注意したいのが「火災保険料」です。火災保険料そのものには消費税はかからないものの、対象となる建物価格には消費税がかかるため、消費税率アップにより建物価格も上がり、その結果火災保険料も高くなります。
● 住宅ローン控除や住宅資金贈与の非課税なども
  消費税増税は、購入する側からすれば負担増になるわけですが、負担を減らすための税制として「住宅ローン控除」と「住宅資金贈与の非課税」があります。
住宅ローン控除
(年末のローン残高)
住宅資金贈与の非課税
(基礎控除含む)
平成24年 3000万円(4000万円) 1110万円(1610万円)
平成25年 2000万円(3000万円) 810万円(1310万円)
平成26年 610万円(1110万円)
  *カッコ内は長期優良住宅、省エネ住宅等の場合
  住宅ローン控除の場合、3000万円を金利2%、35年返済で借りた場合の10年間の控除総額は、平成24年入居で約265万円、25年入居で200万円と、約65万円の差が出ることになります。平成26年以降の住宅ローン控除は今のところ未定ですが、これまでの経緯から考えると、何かしらの施策が用意されることが予想されています。
  また、住宅資金として両親や祖父母から贈与を受けることができれば、自己資金が増え、利息の総支払額を抑えることができます。
  仮に住宅購入のために4000万円を金利2%、35年毎月返済で借りた場合について、頭金なしで購入した場合と、自己資金1000万円を用意できた場合の利息総額を比べると、頭金なしの場合は約1565万円、頭金ありの場合は約1174万円と、利息総額で約400万円の差が出るのです。
  住宅に関するコストは、購入金額や時期、自己資金割合など、条件によってさまざまに変化します。
  住宅は生涯で最も高い買い物と言われるだけに、単純なコスト比較だけで購入を決断することなく、家庭の資産状況や今後のライフイベント、不動産市況なども含めた総合的なアドバイスをしていきたいものですね。
  
高橋浩史 (たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/
  
  
2012.10.18
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