>  今週のトピックス >  No.2515
民間企業の障害者の法定雇用率2.0%に引き上げ
● 民間企業の法定雇用率は1.8%→2.0%に
  すべての事業主は、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務がある(障害者雇用率制度)わけだが、この法定雇用率が、平成25年4月1日から下記のとおりに変わることがすでに決まっている。民間企業においては、この法定雇用率が現状の1.8%から2.0%に引き上げられることとなった。この法定雇用率については「労働者の総数に占める身体障害者・知的障害者である労働者の総数の割合」を基準として設定し、少なくとも5年ごとに、この割合の推移を考慮して政令で定めることになっており、今回の引き上げはこの規定によるものである。
  この労働者には失業者も含む
<平成25年4月1日以降の法定雇用率>
民間企業 2.0%(現行1.8%)
国、地方公共団体等 2.3%(現行2.1%)
都道府県等の教育委員会 2.2%(現行2.0%)
● 障害者を雇用しなければならない事業主の範囲は50人以上に
  今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない事業主の範囲が、従業員56人以上から「50人以上」に変わるので、今回新たに対象となる事業主においては特に注意が必要である。また対象となる事業主には、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告する義務があり、事務手続きにおいても負担が増えるので、この制度そのものを早めに理解することが重要となってくる。
  また常用労働者50人以上の規模の民間企業においては、障害者雇用推進者を選任するよう努めなければならず、その業務としては、
   1. 障害者の雇用の促進と継続を図るために必要な施設・設備の設置や整備
2. 障害者雇用状況の報告
3. 障害者を解雇した場合のハローワークへの届け出
などがある。
● 障害者雇用納付金制度とは?
  障害者雇用納付金制度とは、法定雇用率を下回っている事業主(従業員200人超)から、法定雇用障害者数に不足する人数に応じて納付金を徴収し、それを財源に法定雇用率を上回っている事業主に対して障害者雇用調整金、報奨金、各種の助成金を支給する制度のことをいう。障害者を多く雇用している事業主の経済的負担を軽減し、事業主間の負担の公平を図りつつ、障害者雇用の水準を高めることを目的としている。
  この障害者雇用納付金制度についても、平成25年4月1日から新しい法定雇用率が適用されることとなる。従って、平成26年4月1日から同年5月15日までの間に申告する分(平成25年4月から平成26年3月までの申告対象期間)から新しい法定雇用率で算定することになるので、実務担当者においては、間違えることのないように注意が必要である。
参考 :厚生労働省 障害者雇用率制度「平成25年4月1日から 障害者の法定雇用率が引き上げになります」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/dl/120620_1.pdf
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
  
2012.10.22
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